スコット・ハッテバーグ

スコット・ハッテバーグ：マネーボールの体現者

スコット・アレン・ハッテバーグ（Scott Allen Hatteberg）は、1969年12月14日生まれ、アメリカ合衆国オレゴン州セイラム出身の元メジャーリーガーです。主に一塁手として活躍しましたが、捕手や三塁手としての経験も持ち合わせています。右投左打。

若手時代とレッドソックスでの苦悩

10歳から捕手として野球を始めたハッテバーグは、1991年のMLBドラフトでボストン・レッドソックスから1巡目指名を受け入団。1995年にメジャーデビューを果たし、1997年にはメジャーに定着します。しかし、2001年に肘の神経断裂という大怪我に見舞われ、手術を受けることに。その後、コロラド・ロッキーズへ移籍するも、契約交渉が不調に終わり、オークランド・アスレチックスへ。

アスレチックスでの転機：マネーボールの申し子

アスレチックスでは、従来の捕手としての役割から一塁手へとコンバートされます。これは、当時チームのゼネラルマネージャーだったビリー・ビーンが推進していた、セイバーメトリクス（野球の統計分析）を重視したチーム作りの一環でした。ハッテバーグは、その高い選球眼と出塁率を買われ、従来の評価基準では見過ごされていた才能を開花させたのです。

当初は不慣れだった一塁守備も、徐々に改善。2004年には5番打者として自己最多の81打点を記録するなど、チームに大きく貢献しました。彼の活躍は、マイケル・ルイスの著書『マネー・ボール』で詳細に描かれ、後に映画化もされました。映画では、クリス・プラットがハッテバーグを演じ、彼の苦悩と成功が感動的に描かれています。

レッズでの活躍と引退

2006年、ハッテバーグはシンシナティ・レッズへ移籍。ここでも、チームトップの出塁率.389を記録するなど、期待以上の活躍を見せます。2007年には自身初の打率3割を達成するなど、ベテランとしてチームを支えました。しかし、2008年には若手の台頭もあり、戦力外通告を受け、現役を引退しました。

プレースタイル：選球眼と出塁率

ハッテバーグは、リトルリーグ時代からボールにバットを当てるのが得意でした。しかし、凡打になるくらいなら見逃し三振の方がましだと考えるほど、選球眼を重視していました。初球打ちを嫌い、メジャーでもトップクラスの選球眼を誇り、高い出塁率を残しました。1打席あたりの球数が多く、2ストライクまではバットを振らないことが多く、そこから粘って安打を放つプレースタイルは、レッドソックス時代には評価されませんでしたが、アスレチックスではその才能が開花しました。

スコット・ハッテバーグは、従来の野球界の常識を覆し、セイバーメトリクスの有効性を示した「マネーボール」の象徴的な存在として、その名を野球史に刻んでいます。

年度別打撃成績

2008年度シーズン終了時

参考文献

マイケル・ルイス (著)、 中山 宥 (訳)『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』ランダムハウス講談社、2004年。ISBN 9784270000120。

外部リンク

* 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)

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