スコリア

スコリア：多孔質の暗色火山岩

スコリアは、火山噴火によって生じる火山岩の一種です。黒色や暗灰色を呈する多孔質の岩石で、一般的に「岩滓（がんさい）」とも呼ばれています。その特徴的な多孔質構造は、マグマ中の揮発成分（水蒸気など）の急激な発泡によって形成されます。

スコリアの形成過程

地下深部から上昇してきたマグマ、特に玄武岩質マグマは、地表へと噴出する際に急激な減圧を経験します。この減圧によって、マグマ中に溶解していた揮発成分が気泡として分離、膨張します。この発泡作用が、スコリアの多孔質構造を作り出すのです。発泡の程度は軽石よりも低く、孔の数が少ないものは火山弾や火山礫と区別が難しい場合があります。

スコリアの色と組成

スコリアの色は、一般的に黒色から暗灰色ですが、噴火時の条件によって変化します。マグマ中に含まれる鉄分が酸化されると、酸化鉄の影響で赤紫色や紫色のスコリアが生成されることがあります。鉱物結晶は軽石に比べて少なく、主にガラス質で構成されています。

スコリアの噴出様式と地質学的意義

スコリアは、火口から放物線を描いて噴出します。風向きなどの影響を受け、火口周辺には同心円状（風がある場合は楕円状）に堆積します。大量のスコリアが噴出すると、スコリア丘と呼ばれる円錐状の地形を形成します。

また、スコリアは火山灰や火山礫と共に火砕流として山腹を流れ下ることもあります。特に、スコリアを主要な構成物質とする火砕流は「スコリア流」と呼ばれ、地形の浸食や変形に大きな影響を与えます。スコリアの堆積物は、過去の火山活動の歴史を解き明かす重要な手がかりとなります。堆積物の層序や組成を分析することで、噴火の規模や頻度、マグマの性質などを推定することが可能です。

スコリアと類似の火山岩

スコリアは、軽石と似た多孔質構造を持つ火山岩ですが、発泡の程度が異なります。軽石はスコリアよりも発泡が激しく、より多くの空隙（孔）を持ちます。一方、スコリアは軽石よりも発泡が少なく、密度が高い傾向があります。また、スコリアと火山弾や火山礫は、多孔質の度合いの違いによって区別されますが、明確な境界線はありません。連続的な変化を示すため、厳密な分類は困難な場合があります。

まとめ

スコリアは、その独特の多孔質構造と暗色を呈する特徴から、他の火山岩と容易に区別できる岩石です。その形成過程や噴出様式は、火山活動のダイナミズムを理解する上で重要であり、地質学的にも重要な意味を持ちます。スコリアの研究は、過去の火山活動の解明や将来の火山災害予測に役立つ情報をもたらしてくれます。

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