スズメバチ (映画)

フランス映画『スズメバチ』（原題：Nid de guêpes）は、2002年に制作されたアクションスリラーです。2003年にはDVDも発売され、多くの人々にその緊迫感あふれるストーリーが届けられました。

物語は、入念な準備を重ねてある計画を実行しようとするナセール率いる泥棒グループから始まります。彼らは、高価なパソコンが保管された巨大な物流倉庫をターゲットに選定していました。一方、フランス警察は、子供売買組織のボス逮捕と護送を実行に移そうとしていました。このボス奪還を企むマフィアによる襲撃が予想されたため、護送には装甲車並みの防御力を持つ特殊車両が用意され、特殊警察隊員、ラボリ中尉らが最新の装備で待機していました。

ナセールたちは、無事に倉庫に侵入し、管理人を拘束。目的の品々を目の前に、成功を確信していました。しかし、その矢先、護送車はマフィアの襲撃を受け、銃撃戦の末、倉庫へと逃げ込みます。この騒動を警察の襲撃と誤認したナセールたちは、特殊警察隊と交戦態勢に入ります。

間もなく、マフィアたちが倉庫を包囲し、催涙弾を投げ込み始めます。倉庫内はたちまち催涙ガスで充満、特殊警察もナセールたちも苦しみます。拘束されていた管理人も例外ではありませんでした。ナセールたちは管理人を解放し、彼の指示で換気扇とスプリンクラーを作動させ、危機を脱します。

こうして、泥棒、特殊警察、倉庫管理人の三者は、それぞれの思惑を超え、共闘せざるを得ない状況に追い込まれます。このままではマフィアに殺されてしまうと判断した三者は、警察に通報することに合意します。軽業師である泥棒の一人が、下水管を使って外部へ脱出し、警察に通報する役割を担うことになります。

この映画の見どころは、緊迫した状況の中での三者の共闘だけでなく、リアリティあふれる描写にもあります。マフィアが使用する暗視ゴーグルは、フランス軍の暗視装置「ILマスク」を彷彿とさせるデザインで、予算や安全面を考慮して映画用に製作されました。使用される銃器も、ナセールたちが使用するソードオフショットガン、特殊警察隊が使用するFAMASやSIG SG552といったフランス軍や法執行機関が採用する実銃器、そして倉庫管理人が持つ古いカービン銃など、細部までこだわりが感じられます。マフィア側もUZIなど、特徴的な銃器を使用しています。

特殊警察側の主人公であるラボリ中尉は、女性隊員として活躍し、『バイオハザード』や『トゥームレイダー』といった同時期公開された作品ヒロインと比較されることもあります。西部劇『アパッチ砦』や『リオ・ブラボー』、そして『要塞警察』といった作品を彷彿とさせる要素も含まれており、多国籍犯罪を扱う現代劇でありながら、古典的な西部劇の要素も巧みに取り入れている点が特徴です。

『スズメバチ』は、予想外の展開と緊迫感、そしてリアリティあふれる描写が融合した、見応えのあるアクション映画です。泥棒、特殊警察、そして倉庫管理人という異色の組み合わせが織りなすドラマは、観客を最後まで引き込みます。

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