リオ・ブラボー

リオ・ブラボー

『リオ・ブラボー』（Rio Bravo）は、1959年にハワード・ホークスが監督を務め、ジョン・ウェインが主演した西部劇映画です。本作は、B・H・マッキャンベルの短編小説を原作としており、作り手たちが『真昼の決闘』の保安官像に不満を抱き、これに対するアンチ・テーゼとして制作されたとされています。西部劇の中でも特に印象的な作品になったこの映画は、力強いキャラクターたちの物語と共に、歌や恋愛が織り交ぜられた痛快な内容を持っています。

あらすじ

物語はテキサス州のリオ・ブラボーという町を舞台に展開します。町の保安官チャンス（ジョン・ウェイン）は、冷酷な殺人犯ジョー（クロード・エーキンス）を逮捕します。しかし、ジョーの兄で町の有力者であるバーデット（ジョン・ラッセル）は、自身の利益を守るため、部下に命じて駅馬車の車輪を壊し、町を封鎖します。町の人々は見守るだけで、チャンスは連邦保安官が来るまでの6日間、残された仲間たちと共にバーデット一味と戦うことになります。

チャンスの味方となるのは、かつては早撃ちの名手だったが、恋愛の苦い経験から酒に溺れている保安官補デュード（ディーン・マーティン）や、片足が不自由で毒舌を持つ老牢屋番スタンピー（ウォルター・ブレナン）、ダイナマイトを輸送するために町に到着した若い早撃ちコロラド（リッキー・ネルソン）、そして駅馬車の故障により滞在することになった女賭博師フェザーズ（アンジー・ディキンソン）などです。

彼らが孤立した環境の中で耳にするのは、バーデットに雇われたガンマンたちによる看視のもと、バーから流れてくる『皆殺しの歌』のメロディです。チャンスは仲間との絆を深めながら、バーデット一味からの数々の襲撃を乗り越え、デュードも酒を断つ決意をします。しかし、加勢が少ない彼らの運命は厳しく、デュードはついに捕まってしまいます。

バーデットはジョーとデュードの交換を要求し、チャンスはその提案を受け入れ、町外れの倉庫へと向かうことになります。道中、デュードがジョーを殴り飛ばすと、銃撃戦が始まります。しかし、コロラドが持つダイナマイトの爆発を利用して、ついにバーデット一味は降伏します。主犯のバーデットは逮捕され、デュードや他の仲間たちも無事に戻り、リオ・ブラボーは再び平和を取り戻します。

音楽とエピソード

本作では、さまざまな音楽が使用されています。特に『皆殺しの歌』は、メキシコ軍がアラモの砦を攻撃する前に流されたことに由来し、ディミトリ・ティオムキンの手によって作曲されています。また、ディーン・マーティンとリッキー・ネルソンによるオリジナルのデュエットシーンは、映画に特有の魅力を加えています。

撮影当時、ディーン・マーティンが手にタバコを巻けないと冗談を言った際、ジョン・ウェインが即座に愛嬌たっぷりに返答したエピソードは、映画の中でも取り入れられました。さらに、アンジー・ディキンソンが演じるフェザーズは、ハワード・ホークスが描く女性像の象徴とも言われ、印象的なキャラクターを形成しています。

この映画は後に日本の石ノ森章太郎による『秘密戦隊ゴレンジャー』などの作品に影響を与え、広く知られる存在となりました。『リオ・ブラボー』は単なる西部劇を超えた、強いキャラクターたちと彼らの絆、そして逆境を乗り越える姿が描かれた名作です。

もう一度検索