スタジオ (映像編集)

映像編集スタジオ

本稿では、動画映像の編集作業に特化したスタジオ、特に「映像編集スタジオ」について解説します。

フィルムの編集スタジオ

フィルムで撮影された映像の編集は、その手法において大きく2つの時代に分けられます。

フィルムを使った編集

フィルムそのものを直接扱う編集では、編集室は「スタジオ」と呼ばれるよりも、むしろ単に「編集室」と呼ばれることが一般的です。しかし、歴史的な背景から、そのプロセスについて簡潔に説明します。フィルム編集のプロセスは、後のビデオ編集のプロセスに大きな影響を与えました。

ポジ編集

撮影されたネガフィルムからポジフィルムを作成し、そのポジフィルムを「ムヴィオラ」と呼ばれる簡易的な映写機で確認しながら、「スプライサー」という道具を用いてフィルムの切断と接着を行います。オーバーラップなどの特殊効果が必要な箇所には、フィルム上にダーマトグラフ（特殊な色鉛筆）で印を付け、光学合成に出します。この作業は「オプティカル出し」と呼ばれます。

フィルム編集室があまり「スタジオ」と呼ばれない理由としては、歴史的な経緯が考えられます。フィルム編集室の設備は、ムヴィオラやスプライサーといった比較的シンプルなものが中心であり、特別な装備を必要としません。ムヴィオラとスプライサーがあれば、基本的にどこでも編集作業が可能だったのです。このポジ編集は、後のビデオ編集における「プリ編（プリ編集）」に相当します。

ネガ編集

ネガフィルムの最終的な仕上げは、専門の「ネガ編集者」が行います。編集済みのポジフィルムから編集データを読み取り、ネガフィルムの使用部分のみを正確に接続し、最終的な原版を組み上げます。合成済みのネガフィルムもこの段階で組み込まれます。

この「ネガ編集」は、後のビデオ編集における「本編集」に対応します。組み立てが完了したネガフィルムからポジフィルムに焼き付けられたものは「0号プリント」と呼ばれ、関係者向けの最初の試写に使用されます。

FV編集

デジタル合成技術の進展に伴い、フィルム作品の編集にもデジタル編集スタジオが利用されるケースが増加しています。この場合、フィルムを一度ハイビジョン、2K、4Kなどのビデオ信号に変換し、そのビデオ信号をビデオ編集スタジオで編集した後、最終的な成果物をフィルムに戻すという手順を踏みます。実際の編集作業は、それぞれの解像度に対応したビデオの映像編集スタジオで行われます。

画質の向上や作業工程はデジタル技術の進歩とともに大きく変化していますが、映像そのものを編集する技術やセンスは、本質的には変わっていません。

ビデオの編集スタジオ

ビデオ編集のプロセス

ビデオ編集は、通常「プリ編集」（オフライン編集）と「本編集」（オンライン編集）の2つの段階に分けて行われます。それぞれの段階で使用される映像編集スタジオは、それぞれ異なる特性を持っています。

ビデオ編集では、まず簡略な編集機材を用いてプリ編集が行われます。その後、プリ編集の結果をデータとしてまとめ、そのデータに基づいて本編集が行われます。この手順は、フィルム編集時代のプロセスから受け継がれたものです。

プリ編スタジオ

編集作業の中心は、撮影素材の中から実際に使用する部分を選び出し、それらを繋ぎ合わせて最終的な形に仕上げていくことです。テレビ番組などでは、撮影素材が膨大な量になることも珍しくなく、必要なカットを選び出し、構成を組み立てる作業には非常に時間がかかります。プリ編集には、数日から一週間以上かかることもあります。

この作業を高価な本編集スタジオで行うと、制作費が大幅に増加してしまいます。そのため、本編集スタジオの使用時間を節約するために、大まかな編集作業は比較的安価なプリ編スタジオで行われることが多いです。

プリ編スタジオでは、本編集に必要なデータを作成することが主な目的であり、高い精度での編集は必ずしも必要とされません。以前はUマチックやVHSなどの編集機材が使用されることが多かったですが、これらの機材は画質が劣るため、プリ編集で作成された映像を本編集で使用することは基本的にありませんでした。プリ編集の目的は、あくまで本編集のためのデータ作成にありました。

その後、ベータカムやパソコンを用いたノンリニア編集などの機材も導入されるようになりました。これらの機材は業務用レベルの画質を備えており、プリ編集で作成された映像をある程度本編集で使用することも可能になりました。1990年代後半以降、低価格帯のビデオ機材の画質が向上し、現在では高画質のプリ編集機材を使用すれば、放送用画質の簡易編集を行うことも可能です。

また、ニュース番組の素材などは、プリ編集室クラスの機材でそのまま仕上げてしまうことも少なくありません。

プリ編スタジオのレンタル費用は、一般的に時間貸しまたは日割り貸しです。プリ編スタジオ程度の機材であれば比較的安価であるため、個人所有や中小プロダクションが所有していることも多いです。また、エディター（編集技術者）が同伴せず、監督（ディレクター）などが自分で操作することもあります。

本編集スタジオ

本編集は、放送や業務での使用に耐えうる高画質での編集を行うものであり、高価なビデオデッキや高性能な編集機材が使用されます。

本編集スタジオでは、以下のような作業が可能です。

フェードイン・フェードアウトや映像のトーン・色味の調整など、映像の単独の加工
オーバーラップ（OL）・ワイプなどの複数の映像の加工と組み合わせ
モザイクや変形などのデジタルエフェクト
スーパーインポーズ（文字入れ）
ミクサー・キーヤーによるクロマキー合成、あるいはデジタル合成作業

本編集スタジオの機材や機能は多岐にわたり、レンタル価格も幅広いです。最も安価なものでは、OLなどの基本的な加工が可能であり、最も高価なものでは、数十の動画を組み合わせて合成することも可能です。編集の目的と予算に応じて、適切な機材を備えた本編集スタジオを選択することが重要です。

本編集スタジオは、一般的に編集技術者（編集エンジニア）の人件費込みの時間貸しです。スタジオ機材に習熟した編集技術者でなければ、迅速かつ的確に機材を扱うことが難しいからです。編集スタッフは、最小で編集技術者1名で構成されますが、多くの場合、編集技術者とその助手の2名体制です。大規模な本編集の場合には、機械室担当要員などが加わったり、複数の部屋で同時並行的に編集作業を行うなど、多数の編集スタッフが参加することもあります。また、編集内容によっては、事前の打ち合わせや撮影への立ち会い、仕込み作業が必要になる場合もあり、これらの作業に対する料金が加算されることがあります。

本編集スタジオでは、原則として音の加工は行いません。ある程度の調整は可能ですが、次の工程である音編集作業（MA）のための準備を行う程度にとどまることが一般的です。映像に関しては、本編集が完成に至る最終段階となるため、画質や映像信号のチェックも入念に行われます。

ビデオの映像編集スタジオの実例

（具体的なスタジオの例や、その特徴などを記述）