スタジオ九魔

スタジオ九魔（Studio 9MA）

スタジオ九魔は、1977年12月に設立された日本のアニメ制作会社で、有限会社九魔という正式名称を持っています。設立者の隈部昌二は、同社の創立前にスタジオディーンで仕上げおよび特殊効果の技術を磨きました。社名の「九魔」は、設立当初の社員数が9人であったことと、隈部の出身地である九州に由来しています。このスタジオは、練馬アニメーションに所属し、数々のアニメーション作品を手がけてきました。

設立と初期の活動

スタジオ九魔は、創立当初は主にサンライズやシンエイ動画等からの仕上げ作業の請負を行っていました。しかし、1984年に『巨神ゴーグ』の制作をきっかけに、作画部門を設け、新たに演出スタッフが加わります。この転機により、九魔はより多様な作品の制作が可能となりました。1990年代には制作スタッフが立ち上がり、グロス請けという形態で外部制作を請け負うことが増えました。

2000年に制作した18禁OVA『回春』シリーズの成功を受け、九魔は元請制の制作を本格化させる一方で、他社からの下請け制作も継続しました。特に18禁OVAにおいては、一部を除き「STUDIO9MAiami」という名義で制作を行いました。

代表作と作品の多様性

九魔が手掛けた作品としては、一般向けのテレビシリーズやOVAが挙げられます。2003年に制作した『銀河鉄道物語』は初の一般向け作品で、その後も『なるたる』などのテレビシリーズの制作や協力を行いました。また、数多くのアニメーション作品の仕上げも担当しています。代表的な作品には、1980年代から1990年代にかけて制作された『怪物くん』や『シティーハンター』、さらに映画『火垂るの墓』や『カウボーイビバップ 天国の扉』などがあります。

経営の変遷と最終期

スタジオ九魔は、長い歴史の中で多くの作品を生み出しましたが、2017年12月に社長の隈部が死去したことで、経営に影響が出始めます。翌年には関連会社の「アジアアニメーションパートナーズ」が東京地裁から破産開始決定を受けることとなり、スタジオ九魔自体も2018年に事業停止が公表されました。この事業の停止を受け、九魔が製作していたアニメーション制作関連の事業は新たに設立された「株式会社戯画プロダクション」へ譲渡され、『デュエル・マスターズ』の制作通常業務も引き継がれました。

作画部門の一部は「ちぃーむハラダ」として独立し、新たな活動を始めることとなりました。スタジオ九魔の作品や技術は、今後も新しい形でアニメーション界に影響を与え続けることでしょう。多くの人々に愛され、記憶に残る作品を生み出した九魔の歴史は、アニメ制作の重要な一部分として永続するのです。

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