スタブ (回路)

電気工学におけるスタブとは

電気工学、特に高周波回路の分野において、スタブ（Stub）とは、伝送線路に対して並列に接続される分布定数線路のことを指します。この名称は、伝送線路から枝分かれする様子が、まるで木の切り株（Stub）のように見えることに由来しています。

スタブの役割

分布定数線路は、その終端負荷と線路長が電波の波長に対してどのような比率であるかによって、入力端から見たインピーダンス特性が変化します。具体的には、容量性（キャパシティブ）に機能したり、誘導性（インダクティブ）に機能したりします。この特性を活かし、高周波回路におけるインピーダンスマッチングを行う際に、スタブは非常に有効な手段となります。

通常、インピーダンスマッチングにはコンデンサやコイルといった受動部品が用いられますが、スタブはこれら部品の代替として機能します。特に高周波領域では、コンデンサやコイルの動作が理想的ではなくなるため、スタブが有利な選択肢となる場合があります。

スタブの種類

スタブは、その終端負荷の種類によって、主に以下の2つに分類されます。

1. オープンスタブ（Open stub）: 先端が開放されているスタブです。開放端では電流が流れず、電圧が最大となるため、特定のインピーダンス特性を示します。
2. ショートスタブ（Short stub）: 先端が短絡されているスタブです。短絡端では電圧がゼロになり、電流が最大となるため、オープンスタブとは異なるインピーダンス特性を示します。

これら2種類のスタブを適切に選択し、線路長を調整することで、回路のインピーダンスを希望の値に調整することが可能になります。

実装上の観点

スタブは、その物理的なサイズが周波数に依存するという特徴があります。低い周波数で使用する場合、スタブの形状が大きくなるため、実装が困難になる場合があります。このため、スタブは数ギガヘルツ以上の高周波回路、特にプリント基板上に構成されることが多いです。

また、スタブはアマチュア無線家の間でも広く知られています。アンテナの製作時において、アンテナと給電線とのインピーダンスマッチングを行うための手法として、スタブが用いられることがあります。この場合、スタブはアンテナの性能を最大限に引き出すための重要な要素となります。

まとめ

スタブは、高周波回路におけるインピーダンスマッチングの重要な要素であり、コンデンサやコイルの代替として用いられる分布定数線路です。その種類や特性を理解することで、より効率的な回路設計が可能になります。特に高周波領域においては、スタブの活用が不可欠と言えるでしょう。

関連事項

* 分布定数回路

もう一度検索