スティル・ライフ (ローリング・ストーンズのアルバム)

ローリング・ストーンズ『スティル・ライフ（アメリカンコンサート '81）』：伝説のツアーの記録と賛否両論

1982年発表のローリング・ストーンズのライブアルバム『スティル・ライフ（アメリカンコンサート '81）』は、1981年の北米ツアーを収めた作品です。翌年のヨーロッパツアーに合わせ、リリースの運びとなりました。日本人画家、カズ・ヤマザキによる印象的なジャケットデザインも話題を呼びました。

本作からは2曲がシングルカットされました。まずはスモーキー・ロビンソン＆ザ・ミラクルズのカバー「ゴーイング・トゥ・ア・ゴー・ゴー」。この曲は英米両国でトップ30入りを果たすヒットとなりました。一方、2曲目としてリリースされた「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」は残念ながらチャートの上位には届きませんでした。

ライブアルバムならではの熱狂的な演奏も記録されています。特に「サティスファクション」の演奏中には、観客がステージに乱入するというハプニングが発生。キース・リチャーズがギターで乱入者を制止し、警備員が追いかけるという、まさにロックンロールらしい興奮と混沌とした場面が繰り広げられたのです。

『スティル・ライフ（アメリカンコンサート '81）』は、イギリスで4位、アメリカで5位を記録し、プラチナアルバムの認定を受ける商業的成功を収めました。しかし、そのサウンドクオリティについては賛否両論がありました。一部からは、ライブの臨場感を十分に伝えきれていないという批判的な意見も上がりました。音質面での課題が、作品全体の評価を左右する一因となったようです。

その後、本作は幾度かのリマスターを経て再発売されています。1998年にはヴァージン・レコードから、2009年にはユニバーサル ミュージック グループから、それぞれリマスター版がリリースされ、よりクリアなサウンドで再び聴くことができるようになりました。これらの再発は、当時の音質に関する批判を踏まえた上での、ファンへの配慮と捉えることができるでしょう。

収録楽曲は、ストーンズの代表曲に加え、他アーティストのカヴァーも含まれています。ストーンズのオリジナル曲と、ビリー・ストレイホーンの「A列車で行こう」といったカバー曲、エディ・コクランの「トゥエンティ・フライト・ロック」、そして、ノーマン・ホイットフィールドとバレット・ストロングによる「ジャスト・マイ・イマジネーション」など、多彩な選曲が魅力です。各楽曲の演奏は、1981年11月から12月にかけて、アメリカ各地で行われたコンサートから収録されています。場所もニュージャージー、ハンプトン、ラルゴ、シカゴ、テンピと様々で、まさに全米を駆け巡ったツアーの熱気が伝わってきます。アルバムの最後は「星条旗」で締めくくられ、アメリカンコンサートらしいフィナーレとなっています。

『スティル・ライフ（アメリカンコンサート '81）』は、商業的成功と同時に、音質面での課題という複雑な評価を背負ったライブアルバムと言えるでしょう。しかしながら、1980年代のストーンズのライブパフォーマンスを記録した貴重な資料であり、彼らの音楽史において重要な位置を占める作品であることは間違いありません。また、再発を通して、技術的な進化が作品をより多くのリスナーに届ける役割を果たしていることも示しています。

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