ステップ (小説)

重松清『ステップ』解説

『ステップ』は、重松清による感動的な小説で、当初は『中央公論』にて「恋まで、あと三歩。」として連載され、後に改題されて2009年に中央公論新社から刊行されました。この作品は、30歳で妻を亡くし、シングルファーザーとなった男性が、幼い娘と共に様々な困難を乗り越え、成長していく姿を連作短編形式で描いています。

物語の背景

物語の中心となるのは、主人公の武田健一。彼は、愛する妻・朋子を髄膜炎で亡くし、1歳半の娘・美紀を一人で育てることになります。突然の悲劇に見舞われた健一は、戸惑いながらも娘のために奮闘し、周囲の人々の支えを受けながら、少しずつ前を向いて歩んでいきます。

収録作品

『ステップ』は、以下の短編で構成されています。

ケロ先生
ライカでハロー・グッドバイ
あじさい
キュウリの馬に乗って
サンタ・グランパ
彼岸過迄
バトン
ホップ、ステップ
ジャンプ

これらの短編を通して、健一と美紀の成長、そして彼らを取り巻く人々の温かい交流が描かれています。

映画化

『ステップ』は、山田孝之主演で映画化され、2020年7月17日に公開されました。監督は飯塚健が務め、原作の感動的なストーリーを忠実に再現しています。

キャスト

武田健一：山田孝之
武田美紀：田中里念、白鳥玉季、中野翠咲
ケロ先生：伊藤沙莉
成瀬舞：川栄李奈
榎本営業部長：岩松了
原雪先生：日高七海
村松良彦：角田晃広
村松翠：片岡礼子
斎藤奈々恵：広末涼子
村松美千代：余貴美子
村松明：國村隼

スタッフ

原作：重松清
監督・脚本・編集：飯塚健
音楽：海田庄吾
主題歌：秦基博「在る」

書誌情報

単行本：ステップ（2009年3月、中央公論新社、ISBN 978-4-12-004017-7）
文庫本：ステップ（2012年3月25日、中公文庫、ISBN 978-4-12-205614-5）

作品の魅力

『ステップ』は、喪失と再生、親子の絆、そして周囲の人々の温かさを描いた感動的な物語です。重松清の繊細な筆致で描かれる登場人物たちの心情や、心温まるエピソードは、読者の心を深く揺さぶります。映画版もまた、原作の魅力を損なうことなく、映像ならではの表現で感動を届けてくれます。人生の壁にぶつかった時、そっと背中を押してくれるような、そんな力を持つ作品です。

もう一度検索