ステファノス・ガヴリイロプロス

ステファノス・ガヴリイロプロスは、セサリア地方で強大な影響力を持つ名門貴族、ガヴリイロプロス家の当主でした。彼は大地主として地域に絶大な権力を誇り、ヨアニス2世ドゥカスの政権下でも大きな影響力を行使していたと考えられています。

当時、東ローマ帝国はセサリア君主国に対する宗主権を確立しようとしていましたが、ステファノスは地域の有力者たちと協力してヨアニスを支え、東ローマの干渉を排除する姿勢を貫きました。

1318年にヨアニス2世が子を残さずに亡くなると、セサリアにおけるドゥカス・コムニノス・アンゲロス朝は断絶しました。しかし、ステファノス・ガヴリイロプロスは自らが実質的な後継者としてその地位を継承し、セサリアの独立を維持し続けました。東ローマ皇帝アンドロニコス2世パレオロゴスは、彼に対しアンゲロス朝と同様に尊厳公の称号を授与し、名目的な宗主権に甘んじるしかなかったのです。

1333年にステファノスが亡くなると、セサリアはイピロス専制公ジョヴァンニ2世オルシーニと東ローマ帝国の間で争奪戦が繰り広げられることになりました。東ローマ皇帝アンドロニコス3世パレオロゴスは、既にセサリア軍政官に任命していたミハイル・モノマホスを派遣し、オルシーニを排除してセサリアを帝国に併合しました（1335年頃に完了）。

東ローマ帝国による併合後も、ガヴリイロプロス家はセサリアにおいて勢力を維持し続けました。ステファノスの遺児ミハイル・ガヴリイロプロスは、東ローマ帝国の内乱に乗じて再び自立の動きを強め、ヨアニス6世カンタクジノスの即位を支援しました。

*本項目の表記は中世ギリシア語の発音に基づいています。古典式慣例表記については、各リンク先の項目をご参照ください。

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