ジョヴァンニ2世オルシーニ

ジョヴァンニ2世オルシーニは、14世紀にイピロス専制公国を統治した人物です。彼は、兄であるニコーラ・オルシーニを暗殺し、1323年にイピロス専制公の座とケファロニア宮廷伯の地位を奪いました。彼は、ギリシア名をヨアニス・ドゥカスと名乗り、ドゥカス・コムニノス・アンゲロス家の正当な後継者であることを内外に示しました。

ジョヴァンニは、東ローマ帝国皇帝ミハイル8世パレオロゴスの孫娘であるアンナ・パレオロギナと結婚し、自身の血統の正統性を強く主張しました。彼らの間には、ニキフォロス2世、ソマイス、そしてもう一人の娘が生まれました。ソマイスは、セルビア王ステファン・ウロシュ4世ドゥシャンの異母弟であるシメオン・ウロシュ・パレオロゴスと結婚し、セルビアによるイピロスとテッサリア支配の足がかりを築きました。ジョヴァンニは、生まれ故郷であるケファロニア島を弟のグィードに任せ、イピロスに拠点を移しました。

イピロス専制公として、ジョヴァンニは積極的な対外 expansion を目指しました。当時、イピロス専制公国から分離したテッサリアではアンゲロス王朝が断絶しており、その領土はステファノス・ガヴリイロプロスという土着の有力者が支配していました。1333年にガヴリイロプロスが死去すると、ジョヴァンニはかつてのイピロス専制公国の領土を統合しようと試み、ピンドス山脈を越えてテッサリアに侵攻しました。しかし、東ローマ帝国から派遣されたミハイル・モノマホスの攻撃によって撃退され、彼の野望は打ち砕かれました。

しかし、ジョヴァンニを待ち受けていたのは、更なる悲劇でした。1335年、彼は妻であるアンナ・パレオロギナによって毒殺されたのです。同時代の東ローマ帝国の歴史家ニキフォロス・グリゴラスは、オルシーニ家の歴代に伝わる気性の激しさに対する恐怖が、アンナを毒殺という凶行に走らせたのではないかと推測しています。

ジョヴァンニの死は、イピロス専制公国の歴史における転換点となりました。彼の死後、イピロス専制公国は東ローマ帝国に直接併合されることになったのです。ジョヴァンニ2世オルシーニの生涯は、権力、野心、そして裏切りが織りなす、中世ギリシアの複雑な政治情勢を象徴する出来事と言えるでしょう。

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