ステンシル体

ステンシル体は、ステンシルテンプレートを用いて文字を転写する際に使用される書体です。元々はステンシルという制約のある環境下で生まれた書体でしたが、その独特な形状が活字としてデザインされ、現代ではコンピューターにも搭載されるようになりました。

ステンシル体の定義

ステンシル体は、ISO/IEC 9541-1 (JIS X 4161) において、オーナメント・クラスの中のステンシル・サブクラスとして定義されています。これは、ステンシル体が装飾的な要素を持つ書体として認識されていることを示しています。

欧文ステンシル体フォントの例

Stencil: 1937年に登場したステンシル書体で、Microsoft Officeにも標準搭載されています。
Fakt Slab Stencil: Mac OSに搭載されているステンシル体フォントです。

日本語ステンシル体フォントの例

写研: 複数のステンシル体フォントを開発しています。
ナミン: 特徴的なステンシル体フォントを提供しています。
ダイナフォント: 幅広い種類のステンシル体フォントがあります。
POPステンシル (華康彩帶體): ポップ体のPOP1体から派生した、装飾的なステンシル体です。
モトヤ: タイポス系のモトヤアポロから派生したモトヤステンシルアポロなどがあります。
フォントグラフィック (カフェ「ザグリ」): ゴシック体のFGゼロゴシックから派生したFGゼロラバウルがあります。
フロップデザイン: 明朝体の源ノ明朝から派生した装甲明朝があります。

ステンシル体の主な採用例

ステンシル体は、その視認性の高さと独特な形状から、様々な場所で使用されています。

ガスボンベ: 内容物の表示に用いられています。
消火栓などの消防用設備: 緊急時の識別を容易にするために使用されています。
輸出入に使われていた木箱の荷印 (シッピングマーク): 輸送時の識別に役立ちます。
麻袋・樽・ドラム缶: 内容物の表示や注意書きに利用されています。
鋼管: 製造情報や規格表示などに使用されています。
戦闘機などのミリタリー関連: 軍事的な用途にも適しています。
ゆりかもめの駅名標: 独特なデザインが採用されています。

関連事項

* 丸ゴシック#重ね丸ゴシック体: モリサワ製の重ね丸ゴシック体には「アローRステンシル」というフォントがあり、ISO/IEC 9541-1ではこれもステンシル体として扱われています。

ステンシル体は、単なる書体としてだけでなく、その歴史的背景や用途の多様性から、デザインの世界において独自の地位を確立しています。その無骨でありながらも洗練されたスタイルは、現代のデジタルデザインにおいても魅力的な選択肢となっています。

プロカウィンIIIステンシル - オクイ製のステンシル製作システム (書体見本あり。)

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