源ノ明朝

源ノ明朝(Source Han Serif)



源ノ明朝は、AdobeとGoogleが共同で開発した、オープンソースのPan-CJK(汎-中日韓)フォントファミリーです。これはAdobeが公開した5番目のオープンソースフォントファミリーであり、明朝体としては初の試みです。欧文書体であるSource Serifファミリーをベースにしており、日本語、韓国語、そして中国語繁体字簡体字)のグリフを可能な限り網羅しています。

概要



源ノ明朝は、ExtraLightからHeavyまで、7つの異なるウェイト(太さ)を持っています。具体的には、ExtraLight (250), Light (300), Regular (400), Medium (500), SemiBold (600), Bold (700), Heavy (900) が用意されており、合計で約46万グリフという膨大な数になります。フォント形式は、CIDキー方式のCFF(PostScript)アウトラインOpenTypeフォントとして開発・公開されています。

開発の中心となったのはAdobeの西塚涼子氏であり、日本語の拡張部分についてはイワタ、中国語部分については常州華文、韓国語部分についてはサンドルといった各国のフォントメーカーと協力することで、各言語への高度な対応を実現しています。バージョン2.000では、アーフィックの協力を得て、香港向けの繁体字中国語と香港増補字符集 HKSCS-2016への対応が追加されました。

源ノ明朝は、SIL Open Font License 1.1というオープンソースライセンスの下で公開されており、ライセンスの条項を守る限り、誰でも自由に再配布、修正、そして派生版の公開を行うことができます。このライセンスにより、GoogleNoto Serif CJKというフォント名で同一のフォントを公開しています。Noto Serif CJKは、フォント名などの一部情報が異なりますが、それ以外は源ノ明朝と完全に同一のフォントです。

仕様



源ノ明朝は、Adobeにとって源ノ角ゴシックに続く2番目のPan-CJK書体ファミリーとして公開されました。日本語、簡体字、台湾繁体字、香港繁体字、韓国語において、細部のデザインが異なるものの、Unicode上では区別されない漢字などを、それぞれ異なるグリフとして収録しています。

主な収録文字は以下の通りです。

日本語 - Adobe-Japan1-6 (JIS X 0208, JIS X 0213, JIS X 0212 の上位集合) の漢字すべて
簡体字 - GB 18030 および通用規範漢字表の漢字すべて
台湾繁体字 - Big5 と CNS 11643 第1面・第2面、HKSCS-2016 の漢字すべて、倚天拡張字7文字、追加15文字
香港繁体字 - Big5 と HKSCS-2016 の漢字すべて
韓国語 - 現代ハングル音節11,172文字、高頻度の古ハングル音節500文字、ハングル字母、KS X 1001 と KS X 1002 の漢字すべて、追加漢字466文字

日本語については、IVS(Adobe-Japan1)14,682文字およびStandardized Variantsの漢字89文字が収録されており、Unicode異体字セレクタによる異体字切り替えに対応しています。

源ノ明朝はCIDキー方式のOpenTypeフォントとして開発・公開されていますが、Adobe-Identity-0を採用する独自のグリフセットを使用しており、Adobe-Japan1など他の文字コレクションとの規格上の互換性はありません。

配布形式



対応環境やグリフのカバー範囲などの違いにより、以下の4種類の形式で配布されています。

1. 複数言語OTF版:一つのフォントにPan-CJKフォントとしてのグリフをフルセットで収録。
2. OTC版:同じウェイトの複数言語OTF版をフォントコレクションとして一つのファイルにまとめたもの。
3. スーパーOTC版:一つのフォントにすべての複数言語OTF版を収録。
4. サブセットOTF版:各言語向けフォントとして必要なグリフを抜粋して収録。

2021年10月25日にリリースされたバージョン2.000では、バリアブルフォント版も公開されています。

関連フォント



源ノ明朝と関連するフォントファミリーとして、以下のようなものがあります。

Source Sans Pro
Source Code Pro
Source Serif Pro
源ノ角ゴシック
源ノ等幅

派生フォント



源ノ明朝のライセンスに基づき、改変・再配布されたフォントも存在します。

源様明朝
源流明朝
源雲明朝
源暎こぶり明朝
* 原ノ味フォント(原ノ味明朝)

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