ストックホルム市庁舎

ストックホルム市庁舎は、スウェーデンの首都ストックホルムに位置する、ひときわ目を引く建築物です。メーラレン湖畔に佇むこの市庁舎は、ノーベル賞の晩餐会が開催される場所として世界的に知られています。

建築家ラグナル・エストベリの設計により、1909年から1923年にかけて建設されました。エストベリは、ヴェネツィアのドゥカーレ宮殿をはじめとするヨーロッパ各地の建築からインスピレーションを受け、独自の折衷的なデザインを生み出しました。その結果、機能主義的なモダニズム建築とは一線を画す、20世紀建築の傑作として高く評価されています。

黄金の間

市庁舎の中でも特に有名なのが、「黄金の間」と呼ばれる大広間です。その名の通り、壁面は金箔を貼ったモザイクで覆われ、豪華絢爛な雰囲気を醸し出しています。部屋の正面には、メーラレン湖の女王と呼ばれる女神像が描かれた壁画があります。この女神像は、新大陸とアジア大陸の間に立っており、東西の文化を結びつける象徴として表現されています。完成当初は、女王の性別が不明確であるという意見もありましたが、現在ではその神秘的な魅力が評価されています。

青の間

もう一つの見どころは、「青の間」です。実際には床に青灰色の石畳が敷き詰められていることから、この名が付けられました。ここではノーベル賞の晩餐会が盛大に開催されます。広間にある大階段は、幅が広く、高さが低く設計されています。これは、女性がイブニングドレスを着用して階段を降りる際に、最も美しく見えるように配慮されたためです。また、向かい側の赤レンガの壁面には、星のレリーフが施されており、視線を誘導するガイドの役割を果たしています。

ストックホルム市庁舎は、1920年代のイギリス建築にも大きな影響を与えたと言われています。日本では、早稲田大学の今井兼次がいち早く紹介し、同大学の大隈講堂（1927年）のデザインに影響を与えたとも伝えられています。

ストックホルム市庁舎は、その美しい外観、豪華な内装、そしてノーベル賞晩餐会の会場という特別な役割から、多くの観光客を魅了し続けています。この市庁舎を訪れることは、スウェーデンの歴史と文化に触れる貴重な機会となるでしょう。

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