ストルボヴァの和約

ストルボヴァの和約について

ストルボヴァの和約（Freden i Stolbova）は、1617年2月27日にロシア・ツァーリ国とスウェーデン王国との間で結ばれた重要な講和条約です。この条約は、両国が関与したイングリア戦争を終息させるものであり、特にスウェーデンにとっては領土拡張の契機となりました。なお、当時のユリウス暦に基づく日付であるため、現在のグレゴリオ暦では3月9日となります。

戦争の背景

イングリア戦争は、スウェーデンとロシアの間での領土を巡る争いが原因で勃発しました。この戦争の渦中、スウェーデンはノヴゴロドを占領するなど積極的な軍事行動を展開していました。しかし、戦争の長期化は両国にも困難をもたらしました。特にロシア国は、内戦状態にあり「動乱時代」とも称される混乱を経験しており、これが講和の必要性を高める一因となりました。

和約の詳細

ストルボヴァの和約において、スウェーデンは占領していたノヴゴロドをロシアに返還するとともに、王弟カール・フィリップからのツァーリ継承を放棄しました。また、カレリア地方において重要な合意がなされ、スウェーデンはインゲルマンラント（イングリア）及び西カレリアを手に入れる一方、ロシアは東カレリアを獲得することが決定しました。このように、両国の領土のバランスが見直される結果となりました。

スウェーデンにとっての意義

この和約により、スウェーデンはロシア北西部における拠点を確保するとともに、バルト海へのアクセスを強化しました。1617年は、スウェーデンがバルト海での勢力を拡大させる重要な年となり、この時期以降は「大国時代」または「バルト帝国」の創始と見なされるようになります。スウェーデンのグスタフ・アドルフは、父カール9世から戦争の責任を引き継ぎ、彼の指導の下でスウェーデンの国際的地位を確立していくことになります。

ロシアにとっての影響

一方で、ロシアにとってはバルト海への出口を失うことは大きな痛手でした。ストルボヴァの和約を受けて、ロシアは一時的に平和を取り戻すものの、その後の数十年にわたり、同地域の再獲得に向けた努力が続きました。ロシアが西カレリアを取り戻すのは、さらに数世代後のことで、ストルボヴァの和約は両国の歴史において重要なターニングポイントとなることが明らかでした。

結論

この条約は、スウェーデンとロシアの関係において一時的な平和をもたらし、スウェーデンの勢力拡張を記念する重要な出来事であったと言えます。また、ロシアの「動乱時代」は、その後の国の再構築を促す契機となり、両国の歴史的背景において無視できない影響を与えました。

もう一度検索