ストロベリー・スウィッチブレイド

ストロベリー・スウィッチブレイド：華麗なる閃光と短い軌跡

ストロベリー・スウィッチブレイドは、1980年代半ば、スコットランドの音楽シーンを彩ったニューウェーブ・ポップ・デュオです。ジル・ブライソンとローズ・マクドウォールの2人によって構成され、サイケデリックなメイクと、トレードマークとなった水玉模様（ポルカドット）の衣装で注目を集めました。キャッチーなメロディーと独特の世界観は、多くのリスナーを魅了し、日本でも高い人気を誇りました。しかし、その活動期間はわずか1年半足らず。短いながらも強烈な輝きを放ち、音楽史に名を刻む存在となりました。

グラスゴーのパンクシーンから誕生

ストロベリー・スウィッチブレイドのルーツは、1976年のパンク・ムーブメントに端を発します。グラスゴーのクラブシーンで出会ったジルとローズを中心に、4人組バンドが結成されました。しかし、メンバーチェンジを経て、1982年にはジルとローズの2人組となり、現在のバンド名「ストロベリー・スウィッチブレイド」を名乗るようになります。この名称の由来は、砂糖菓子の名前からきているという説もありますが、「イチゴの飛び出しナイフ」という意味も含まれていると言われています。

インディーズからメジャーへ

当初はインディペンデント・レーベル「Postcard Records」と契約していましたが、レコーディングやリリースは行われませんでした。1983年、シングル「Trees and Flowers」でインディーズ・デビューを果たし、全英チャート44位を記録します。この作品には、アズテック・カメラのロディ・フレイムや、マッドネスのメンバーなど、錚々たる面々が参加していました。その後、WEAの子会社であるコロヴァと契約し、1985年1月、メジャー・デビューを果たします。

代表曲「ふたりのイエスタデイ」の大ヒット

メジャーデビューシングル「ふたりのイエスタデイ」(Since Yesterday)は、全英シングルチャートで5位まで上昇する大ヒットを記録します。この曲は、フィンランドの作曲家シベリウスの交響曲第5番のファンファーレをイントロに用いるなど、独創的なアレンジが特徴的でした。白黒の水玉模様のドレスをまとった彼女たちのプロモーションビデオも話題となり、一躍人気アーティストの仲間入りを果たします。アルバム『Strawberry Switchblade』も全英チャート22位と高い評価を獲得しました。

日本での成功と解散

日本でも「ふたりのイエスタデイ」は大きな人気を博し、プロモーションで来日。ロレアルのCMソングにも起用されるなど、その知名度をさらに高めました。1985年の大晦日には、『世界紅白歌合戦』にも出演するなど、日本の音楽シーンでも大きな存在感を示しました。また、スバル・レックスのCMソングとして制作された「エクスタシー」は、日本独自でリリースされ、大きな話題となりました。しかし、1986年、アメリカ進出を目前に控えながら、音楽性の違いから解散という決断を下します。

解散後

解散後、ジルはKR Frostと結婚し、ソロ活動や他アーティストとのコラボレーションを続けました。ローズはCOILのドリュー・マクドウォールと結婚し、COIL、カレント93、デス・イン・ジューンなど、様々なアーティストの作品に参加。ソロ活動やユニット活動でも活躍しました。

ストロベリー・スウィッチブレイドの音楽性

ストロベリー・スウィッチブレイドの音楽性は、ニューウェーブ、ポップ、そしてわずかにサイケデリックな要素が混ざり合った、独特のものです。キャッチーなメロディーと、ノスタルジックで少しダークな雰囲気を漂わせる歌詞は、多くのリスナーの心に響きました。特に、「ふたりのイエスタデイ」の間奏部分で使用されたシーケンサーの音色は、当時としては斬新な手法であり、プロデューサーのデヴィッド・モーションの技術の高さを示すものとなっています。

結論

ストロベリー・スウィッチブレイドは、短い活動期間にも関わらず、独自の音楽性と鮮烈なビジュアルで、音楽史に大きな足跡を残しました。彼女たちの音楽は、今もなお多くのファンを魅了し続けています。その華麗なる閃光は、音楽史に燦然と輝く一つの星として、永遠に記憶されることでしょう。

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