スナイドル銃

スナイドル銃の概要

スナイドル銃（Snider-Enfield）は、エンフィールド造兵廠によって改造された後装式小銃であり、日本では「スナイドル」と呼ばれています。この名称は、銃の設計者であるジェイコブ・スナイダーの名前に由来しています。スナイドル銃は、当時広く用いられたセンターファイア式実包を用いる特徴を持ち、特にボクサー型雷管に関連する重要な弾薬を使用しました。

1866年にイギリス陸軍に制式採用され、その後明治7年に旧日本陸軍でも採用されました。日本にも明治維新前後から輸入され、戦争や警備で利用された経歴があります。

構造と特色

スナイドル銃は、エンフィールド銃の銃身後部を改造し、内蔵された蝶番式銃尾装置を採用しています。この右翼開きの構造により、弾薬の装填と排莢を効率良く行えるようになっています。このため、スナイドル銃は前装式と後装式の中間に位置する銃としての特性を持ち、当初は「莨銃」とも呼ばれることがありました。1878年の日本では、エンフィールド銃をスナイドル銃に改造するための費用が約3円30銭と記録されています。

メカニズム

スナイドル銃は、エンフィールド銃と同様のサイドハンマー式撃発機構を持ち、この点が特に特徴的です。改造されたのは銃身の後方部分のみであり、装弾はブリーチ部を開いて行います。弾薬は手動で引き出すことができ、構造的に非常にシンプルなため、耐久性も高いです。この時期、様々な国で前装式銃の後装改造が試みられましたが、スナイダーの設計は特に優れたものでした。

弾薬の特徴

スナイドル銃が使用するボクサーパトロン（.577 Snider）は、金属薬莢を使用しており、その後の銃器の発展に影響を与えました。従来の紙薬莢とは異なり、腔圧により密封されるため、ガス漏れの心配もなく、信頼性が高いのが特徴です。当初は薬莢基部のみが真鍮製でしたが、後に全体が金属製となり、センターファイア型弾薬として一般化しました。

日本陸軍では、.577スナイドル弾は使用されなかったが、英印軍や英領インドの警備でも使用されました。特に、バックショット弾は地元の現地部族対策に用いられ、特に弾道特性が重視されました。

問題点と改良

スナイドル銃は、新しい技術の導入に伴う問題がいくつか存在しました。特に、ライフリングと弾丸の相互作用に問題があり、命中精度がエンフィールド銃より劣っていました。摩擦熱による弾丸の変形も見られ、銃身の寿命を短くする要因になりました。また、ブリーチ部の設計も弱点があり、定期的なメンテナンスが必要でした。

日本における導入

日本においては、スナイドル銃は戊辰戦争時代に輸入され、幕府軍や倒幕派によって使用されました。特に、近代化を目指したいくつかの藩が積極的に導入し、戦闘での効果を発揮しました。西南戦争では、主力装備として使用され、戦局に大きな影響を与えました。

現在の状況

現在、スナイドル銃は日本国内外でコレクションとして扱われており、特にネパールでの生産が続いています。また、古式銃市場でも見かけることができ、一部の博物館では観光客向けのデモンストレーションにも使用されています。弾薬に関しては、再利用が可能な薬莢と手製の弾薬が用いられ続けています。


このように、スナイドル銃はその歴史的価値、技術の革新の象徴として、現在も多くの人に親しまれています。

もう一度検索