スナム (イタリアの企業)

イタリア天然ガスインフラのリーディングカンパニー：Snam S.p.A.社の軌跡と現状

Snam S.p.A.は、イタリア・ミラノ近郊に本社を置く、天然ガスの輸送と貯蔵を主要事業とする大企業です。イタリア証券取引所にも上場しており、同国におけるエネルギーインフラの中核を担っています。その歴史は古く、1941年に石油会社から分離独立したSocietà Nazionale Metanodotti（Snamの略称）を起源としています。

設立当初からイタリア国内の天然ガスパイプライン網の整備に大きく貢献し、事実上の独占状態を築いてきました。しかし、2001年のEUのガス事業自由化政策を受け、天然ガス以外の事業を分離。社名をSnam Rete Gasに変更し、同年中にイタリア証券取引所に上場を果たしました。その後、2012年に現在の社名であるSnam S.p.A.へと改称しています。

成長の過程では、戦略的な買収も積極的に行ってきました。2009年には、Eniから天然ガス貯蔵会社Stogit S.p.A.と天然ガス販売会社Italgas S.p.A.を買収。ただし、Italgasは2016年に独立しています。現在、Snamの事業は主に以下の3つの部門で構成されています。

Snam Rete Gas S.p.A.: イタリア国内に32,000km以上もの広大な天然ガス輸送網を保有し、天然ガスの輸送とガスコンプレッサの運用を担っています。
Stogit S.p.A.: 天然ガスの貯蔵事業を展開しています。
* GNL Italia S.p.A.: 液化[天然ガス]の再ガス化プラントを運営しています。

EUのガス事業自由化を機に、Snamはイタリア国外への事業展開も加速させています。2013年にはフランスの天然ガス輸送事業者TIGF、2014年にはオーストリアの天然ガス輸送事業者TAGを買収し、欧州市場での存在感を高めています。

株主構成においては、長らくEniが主要株主でしたが、2012年にEniが株式を売却。現在、イタリア政府の政策投資銀行であるCassa Depositi e Prestitiと中国の国家電網とのジョイント事業であるCDP Reti S.p.A.がSnamの株式の約3割を保有するなど、多様な株主によって支えられています。

Snamは、イタリアのエネルギー安全保障に不可欠な役割を果たす一方、欧州における天然ガスインフラの拡大にも貢献しています。今後も、技術革新や国際的な協調を通じて、エネルギー転換期の天然ガス需要に対応していくことが期待されています。その動向は、EU全体のエネルギー政策にも大きな影響を与え続けるでしょう。

今後の展望

脱炭素化への世界的潮流の中で、Snamは再生可能エネルギーの活用、水素エネルギーへの投資なども含め、持続可能なエネルギーシステムの構築にも取り組む必要があるでしょう。また、地政学的リスクやエネルギー価格の変動といった外部環境の変化への対応も課題となるでしょう。これらの課題を克服し、エネルギーインフラの安定供給と持続可能な発展を両立させることが、Snamの今後の成功を左右する重要な要素となるでしょう。

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