スバル・EJ型エンジン

スバル・EJ型エンジンについて

スバル・EJ型エンジンは、1988年12月から2020年3月まで生産されていた、スバルによる水平対向4気筒ガソリンエンジンのシリーズです。このエンジンは、EA型エンジンの後継として開発され、特に高出力に対応するために設計が見直されました。その際、クランクシャフトを支持するベアリングの数を3つから5つに増やすことで、強化された出力を実現しました。

この構造の変化によって、クランクシャフトの長さが増し、ボアピッチも広がっています。その結果、排気量の拡大が可能になった反面、ショートストロークタイプであるため、低回転域のトルクが細く感じられるという評価もあります。

構造的特徴

EJ型エンジンは、前身であるEA型エンジンと同様に水冷式を採用し、シリンダー間のスペースを狭く設計しました。これにより、コンパクトな構成が実現されています。また、クランクシャフトは薄いウェブを持ち、特大のクランクピンとジャーナルが重なり合う形状をしており、こうした特性から「剃刀クランク」と呼ばれることもあります。

エンジンの設計はフロントタイヤ間に搭載するため、横幅への制約も考慮されており、ストロークの長さをそれほど大きくすることができませんでした。これにより、EJ型エンジンはショートストローク・ビッグボアのアーキテクチャを持っています。

興味深い点は、一般的なエンジンに見られるメインベアリングキャップが存在せず、左右のシリンダーブロックがそれを兼ねる形になっているため、支持剛性が高まっています。しかしこの設計は、ピストンピンの脱着が難しく、シリンダーからピストンとコンロッドを一体で取り出すことが困難です。そのため、ピストンピンの取り外し用に専用のサービスホールが設けられています。

動弁機構と型式

EJ型エンジンの動弁機構はSOHCまたはDOHCであり、クランクシャフトによって駆動されるタイミングベルトが使用されています。左右のバンクを1本のベルトで駆動するため、比較的長いベルトが必要です。バルブの駆動方法は年式によって異なり、特にDOHCモデルでは内点支持型ロッカーアームからダイレクトプッシュ式へと進化しました。

EJ型には複数のバリエーションがあり、代表的な形式として以下のようなエンジンが存在します。

• - EJ15: 1,493 ccの排気量で、出力は71kW (97 PS)です。
• - EJ16: 1,597 ccで、出力74 kW (100 PS)です。
• - EJ18: 1,820 cc、出力81 kW (110 PS)から88 kW (120 PS)です。
• - EJ20: 各種バリエーションがあり、スバルの代表的なエンジンです。
• - EJ25: 2,457 cc、出力はモデルによって異なりますが、最高出力で300hpを超えるものもあります。

さらに、EJ型エンジンにはEG33と呼ばれる6気筒の水平対向エンジンも存在しており、これはスバル・アルシオーネSVXに搭載された特別なモデルです。EG33は3,318 ccの排気量で、最高出力240 PSの性能を誇ります。

総じてEJ型エンジンは、その革新的な設計と高い柔軟性により、スバル車の性能やドライブフィールを支える重要な要素となっています。

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