スパーキー・ライル

スパーキー・ライル：リリーフの先駆者

アルバート・ウォルター "スパーキー"・ライル（Albert Walter "Sparky" Lyle , 1944年7月22日 - ）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州ドゥボイズ出身の元プロ野球選手。左投左打の投手として、主にMLBで活躍しました。

レッドソックスでの躍進

ドラフト制度導入以前の1964年にボルチモア・オリオールズと契約しますが、その後ボストン・レッドソックスへ移籍。1967年にメジャーデビューを果たすと、後半戦だけで27試合に登板し、1勝2敗5セーブ、防御率2.28という好成績を挙げ、チームの劇的なリーグ優勝とワールドシリーズ進出に大きく貢献しました。1971年までレッドソックスに在籍し、リリーフとして存在感を示しました。

ヤンキースでの黄金期

1972年、ライルはニューヨーク・ヤンキースへ移籍。これが彼のキャリアにおける転換期となります。移籍初年度からリリーフエースとして大車輪の活躍を見せ、59試合に登板して9勝5敗35セーブ、防御率1.92という驚異的な成績を記録。35セーブは当時のア・リーグ新記録となり、MVP投票でも3位に入るなど、その存在感は際立っていました。

1973年にはオールスターゲームに初出場。その後も安定した成績を残し、1976年には再びリーグ最多セーブ（23）を記録。ホイト・ウィルヘルムが持っていたア・リーグ記録（154セーブ）を更新しました。1977年にはリーグ最多の72試合に登板し、13勝5敗26セーブ、防御率2.17という素晴らしい成績でサイ・ヤング賞を受賞。チームのワールドシリーズ制覇にも大きく貢献しました。

晩年と引退後

通算セーブ数を201まで伸ばし、当時のメジャー記録（ウィルヘルムの227）を射程圏内に捉えていましたが、ヤンキースは1977年オフにリッチ・ゴセージをFAで獲得。ライルは1978年にセットアッパーに配置転換されました。その後、テキサス・レンジャーズ、フィラデルフィア・フィリーズ、シカゴ・ホワイトソックスと渡り歩き、1982年に現役を引退しました。

1980年にはフィリーズが球団創設以来初のワールドシリーズ制覇を成し遂げましたが、ライルはプレイオフ登録期限の関係でポストシーズンでの登板機会はありませんでした。通算成績は899試合登板、99勝、238セーブ。ア・リーグ通算232セーブは当時ア・リーグ記録でしたが、後にローリー・フィンガース、デーブ・リゲッティによって更新されています。

引退後は、1998年に設立された独立リーグ、アトランティックリーグのサマーセット・ペイトリオッツの初代監督に就任。5度の地区優勝と3度のリーグ優勝を果たし、現在も監督としてチームを率いています。ファンサービスにも熱心で、地元ファンから愛される存在です。

プレースタイルと評価

スパーキー・ライルは、スライダー、カーブを武器に、1970年代のリリーフ投手、特にクローザーという役割が確立されていく中で、ローリー・フィンガースと共にその道を切り開いたパイオニアの一人と言えるでしょう。通算899試合登板は、先発登板が一度もない投手としては、メジャーリーグ史上4位という記録です。

受賞歴

最多セーブ投手：2回（1972年、1976年）
最優秀救援投手：1回（1972年）
サイ・ヤング賞：1回（1977年）
MLBオールスターゲーム出場：3回（1973年、1976年、1977年）

エピソード

レッドソックス時代から一貫して背番号「28」を愛用していましたが、フィリーズ移籍後の1980年途中からは「39」をつけ、翌1981年に再び「28」に戻しました。

また、リリーフ投手として試合前半にロッカーに出入りすることが多かったため、チームメイトの誕生日に届いたバースデーケーキにお尻の跡をつけるという悪戯をよくしていたそうです。しかし、その仕返しとして、ライルのバースデーケーキの上に、ある選手が「排出」したという逸話も残っています。

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