スフィンゴ脂質

スフィンゴ脂質について

スフィンゴ脂質は、長鎖塩基成分であるスフィンゴイド類を基本構成として持つ複合脂質の一群を指します。スフィンゴ脂質は、主にスフィンゴイドに脂肪酸がアミド結合したセラミドを基本にし、そこに糖が結合したスフィンゴ糖脂質や、リン酸と塩基が結合したスフィンゴリン脂質に分類されます。

複合脂質全般は、スフィンゴイドを含まないグリセロールを基にするものと、スフィンゴイドを基にするものに大別されます。前者はグリセロ脂質と呼ばれ、これによって複合脂質の多様性が生まれています。

スフィンゴ脂質の分布

スフィンゴ脂質は、主に動物界に広く分布していますが、植物や酵母にもわずかに存在します。動物界では、スフィンゴイドとしてスフィンゴシンが多く見られますが、植物界ではフィトスフィンゴシンが代表的な成分です。これにより、両者は相互に異なる生物界に共存していますが、量的には動物界において圧倒的に多く観察されることが特徴です。

スフィンゴ脂質の代表的な成分

スフィンゴ脂質の中でも、特に有名なのはスフィンゴミエリンです。これは、スフィンゴシンの第一級アルコール基がリン酸とエステル結合し、このリン酸がまた別のアミノアルコールであるコリンと結合した構造を持っています。スフィンゴミエリンは両親媒性の性質を持ち、主に神経系の細胞膜に存在しています。これにより、神経細胞の構造と機能において非常に重要な役割を果たしています。

スフィンゴ脂質の発見

スフィンゴ脂質は1870年代に脳抽出物から初めて発見されました。その性質が神秘的であることから、古代の神話に登場するスフィンクスにちなんで名付けられたとされています。ただし、名称の由来にはいくつかの異なる説が存在しています。

スフィンゴ脂質の消化吸収

スフィンゴ脂質は、他の脂質と比較すると、消化吸収率が低いことが知られています。特に、スフィンゴ糖脂質の場合、その吸収率は非常に低く、実質的にはほとんど体内に吸収されないとされています。この特性が、スフィンゴ脂質の栄養学的な意義について考慮すべきポイントとなっています。

関連項目

• - セラミド
• - 脂質
• - スフィンゴミエリン

参考文献

• - 「スフィンゴ脂質」『岩波生物学辞典』第4版、岩波書店。

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