スペインのコマルカ

スペインのコマルカは、地理的、経済的、商業的な結びつきによって複数のムニシピオ（基礎自治体）が集まって形成される、政治・行政上の単位です。スペインには17の自治州があり、コマルカはこれらの自治州の下位区分にあたります。また、8,114あるムニシピオの上位に位置づけられています。日本語では広域区や郡と訳され、2014年時点ではスペイン全土に477のコマルカが存在します。

コマルカの設置根拠は地方制度基本法42条に定められており、各自治州が必要に応じて設置します。コマルカの運営は自治州政府が統括します。2002年の時点では、アラゴン州に33、カスティーリャ・イ・レオン州に1、カタルーニャ州に41、バスク自治州に7と、合計82のコマルカがありましたが、その後増加し、2014年には477となりました。

コマルカは自治権と法人格を持ち、コマルカ議会が運営を行います。議会の議員は、構成ムニシピオの首長や議員の互選によって選出されます。コマルカは、地域整備、都市開発、保健、福祉、文化、スポーツ、教育、公衆衛生、環境など、多岐にわたる分野で権限を有しています。これにより、地域の実情に合わせた柔軟な行政運営が可能となっています。

コマルカの境界と県の境界が必ずしも一致しない点も特徴です。例えば、ピレネー山脈東部にあるサルダーニャは、スペインとフランスの両国にまたがっており、その一部がスペイン領、残りがフランス領となっています。また、1987年に全国で初めて全ムニシピオを包含する41のコマルカを設置したカタルーニャ州では、コマルカの創設によって県の存在意義が薄れ、県を廃止する動きもあります。

コマルカは、カスティーリャ語で「comarca / comarcas」、カタルーニャ語とバレンシア語で「comarca / comarques」、ガリシア語で「comarca / comarcas」と表記されます。英語では、district、county、area、zoneなどの言葉が相当します。

以下は、スペインの各自治州におけるコマルカの状況です。

アンダルシア州
アラゴン州（詳細はen:Comarcas of Aragonを参照）
アストゥリアス州（詳細はen:Comarcas of Asturiasを参照）
バレアレス諸島州
バスク自治州（詳細はバスク自治州のコマルカを参照）
カナリア諸島州
カンタブリア州
カタルーニャ州（詳細はカタルーニャの郡を参照、Category:カタルーニャの郡も参照）
カスティーリャ・ラ・マンチャ州
カスティーリャ・イ・レオン州
エストレマドゥーラ州
ガリシア州（詳細はCategory:ガリシア州のコマルカを参照）
ラ・リオハ州
マドリード州
ムルシア州
ナバラ州（詳細はen:Comarcas of Navarreを参照）
バレンシア州（詳細はen:Comarques of the Valencian Communityを参照）

コマルカは、スペインの地方行政において重要な役割を担っており、地域ごとの特性を活かした行政サービスを提供しています。また、住民の生活に密接に関わる様々な分野で権限を行使し、地域社会の発展に貢献しています。

参考文献:
スペインの国土政策事情 国土交通省
スペインの地方自治 自治体国際化協会

関連項目:
スペインの地方行政区画
スペインの県
コマルカ

外部リンク:
* Spain Comarcas（コマルカの一覧）

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