スペイン1978年憲法

スペイン憲法

スペイン憲法は、フランシスコ・フランコによる独裁政権崩壊後の1978年に制定された憲法であり、スペイン1978年憲法とも呼ばれます。
1978年10月31日に行われた全国投票において88%の賛成を得て、同年12月6日に国会で可決されました。

概要

1975年にフランコが死去すると、それまで抑えられていた民主化運動が一気に活発化しました。1977年には民主主義勢力が議会を再開し、スペイン内戦によって中断されていた憲法再制定に向け動き出します。

選挙の結果、議会の多数を占めた中道勢力の民主中道連合（UDC）が憲法制定を主導しました。他にも、社会労働党（PSOE）、カタルーニャ民族主義政党集中と統一（CiU）、国民同盟（AP）が議論に参加しました。国民同盟からの反対意見もあったものの、独裁政権時代を否定する国民の意思を反映し、「地方分権」「多民族の共生」「連邦主義」を柱とする憲法が制定されました。

フランコの遺言を無視し民主主義派を支持していた国王フアン・カルロス1世は、12月27日に憲法に署名し、12月29日に憲法が施行されました。12月6日は現在、憲法記念日として祝日となっています。

憲法改正

スペイン憲法は硬性憲法であり、改正には厳格な手続きが定められています（第166条～第169条）。改正の発議は、政府、代議院、元老院、自治州議会が行えます。

改正案は、原則として各議院の総議員の5分の3以上の賛成によって可決されます。もし両院で異なる議決がなされた場合は、両院の議員で構成される合同委員会が設置され、合意形成が図られます。合同委員会で提出された改正案も、各議院の総議員の5分の3以上の賛成によって可決される必要があります。

ただし、「全面改正」または「人権規定や国王に関する規定を含む部分改正」の場合、議会の可決要件が異なり、さらに国民投票が必ず実施されます。まず、各議院の総議員の3分の2以上の賛成によって、改正の原則を可決する必要があります。可決後、両院は自動的に解散され、総選挙が行われます。

総選挙後の新議会において、改正の原則が再承認された後、具体的な改正案が審議されます。そして、各議院の総議員の3分の2以上の賛成によって改正案が可決され、最後に国民投票で投票総数の過半数の賛成を得る必要があります。

また、人権規定や国王に関する規定を含まない部分改正であっても、議会による可決後15日以内にどちらかの議院の議員の10分の1以上の要請があった場合、国民投票を実施することができます。

1978年憲法前文

「スペインの国家」は、正義・自由・秩序を確立することを願い、協力する全ての人々を保護することを約束し、以下を宣言します。

憲法の範囲内における民主主義の権利を認め、経済と社会の要請に応じて法を制定する。
全てのスペイン人、及び全ての「スペインの住民」の人権・言語・民族文化に自由を与える。
法による統治（法治主義）を徹底する。
平和で民主的な社会へ向けて前進する。
* 議会は憲法を認め、スペイン住民は憲法を受け入れるものとする。

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