スペースX CRS-13は、別名SpX-13とも呼ばれる、
国際宇宙ステーション(ISS)への重要な
商業補給サービスミッションです。このミッションは、
アメリカ航空宇宙局(NASA)との契約の下、宇宙開発企業の
スペースXによって実行されました。
ミッションの背景と準備
2015年初頭、NASAは
スペースXに対し、CRSプログラムにおける追加の3回の補給ミッション(CRS-13からCRS-15)実施に関する契約延長を承認しました。CRS-13ミッションは当初、2017年9月に予定されていましたが、その後、数度にわたる遅延に見舞われました。2017年9月13日、11月1日、12月4日、12月12日、そして12月13日とスケジュールが変更された後、最終的に打ち上げは同年12月15日に設定されました。これらの遅延の一因として、
ファルコン9ロケット第2段の燃料システム内で微細な粒子が検出されたことが挙げられます。
スペースXは、念のため第1段および第2段の燃料・酸化剤タンクを完全に洗浄する必要があると判断し、この作業のために時間を確保するため、打ち上げ日を延期しました。
打ち上げと軌道上運用
CRS-13ミッションを搭載した
ファルコン9フル・スラストロケットは、2017年12月15日
協定世界時(UTC)15時36分09秒に、アメリカ合衆国のケープカナベラル空軍基地第40発射施設(SLC-40)より宇宙へと飛び立ちました。この打ち上げで使用された機体は、宇宙開発における再利用技術の進展を示すものでした。特に、このミッションでは、以前CRS-6ミッションで使用され飛行実績のあるドラゴン補給船が再使用されました。これは、再利用されたドラゴンカプセルが再び宇宙へ飛び立ち、ミッションを成功させた2回目の事例となりました。さらに、使用された
ファルコン9ロケットの第1段コアも、CRS-11ミッションで既に飛行を経験した「飛行検証済み」の機体でした。打ち上げ後、第2段から分離した
ファルコン9の第1段は、計画通りケープカナベラル宇宙軍基地にある着陸地点1(LZ-1)への自動着陸に成功しました。
ドラゴン宇宙船は打ち上げから約2日後の2017年12月17日にISSに接近し、ランデヴー操作を実施しました。UTC 10時57分には、ISSに搭載されているロボットアーム「
カナダアーム2」によって捕捉され、その後、同日13時26分にISSのハーモニー・モジュールの地球側(天底側)にある共通結合機構に無事係留されました。
ISSでの滞在と帰還
ドラゴン補給船は約1ヶ月間ISSに結合された状態で滞在し、物資の引き渡しや実験装置の設置などが行われました。ミッションを終え、ISSからの離脱準備が整った後、ドラゴンは2018年1月12日UTC 10時47分にハーモニー・モジュールのポートから係留を解除されました。翌日の2018年1月13日UTC 09時58分には、再び
カナダアーム2によってISSからリリースされました。宇宙船はリリースから数時間後に軌道離脱噴射を行い、大気圏へ再突入。同日UTC 15時37分、搭載していた約1,850 kg(4,078ポンド)の機材や科学実験装置と共に、予定通り太平洋上に着水し、回収されました。
輸送された主要貨物
NASAとの契約に基づき、CRS-13ミッションでは
国際宇宙ステーションへ合計2,205キログラム(4,861ポンド)の貨物が輸送されました。この貨物は、ISS船内へ運ばれる与圧貨物と、船外に設置される非与圧貨物に分けられます。
与圧貨物(合計 1,560 kg / 3,440ポンド):
科学研究関連機材:711 kg (1,567ポンド)
乗組員向け補給品:490 kg (1,080ポンド)
宇宙船システム関連ハードウェア:189 kg (417ポンド)
船外活動(EVA)用装備品:165 kg (364ポンド)
コンピューター関連物資:5 kg (11ポンド)
非与圧貨物(合計 645 kg / 1,422ポンド):
全光および分光型太陽放射センサー(TSIS - Total and Spectral Solar Irradiance Sensor):地球に届く太陽光の総量と波長ごとの強度を計測する外部設置型の科学機器。
* スペース・デブリ・センサー(SDS - Space Debris Sensor):ISS近傍の宇宙空間における微小なデブリや粒子の衝突を検知・計測する実験装置。
CRS-13ミッションは、再利用されたドラゴン宇宙船と再利用された
ファルコン9第1段コアの両方を成功裏に使用した点で、宇宙輸送コストの削減と持続可能な宇宙活動に向けた
スペースXの技術開発を示す重要な一歩となりました。多くの科学研究機材や補給品をISSへ届け、その後の運用に貢献しました。