スペースX CRS-14

スペースX CRS-14 ミッション概要

「スペースX CRS-14」は、「SpX-14」という通称でも知られるミッションです。これは、2018年4月4日に実行された、国際宇宙ステーション（ISS）への商業補給サービスを目的とした飛行でした。このミッションは、アメリカ航空宇宙局（NASA）との契約の下、スペースX社によって運用されました。

特筆すべき点として、この飛行では過去のミッション（CRS-12）で一度使用されたファルコン9ロケットの第1段ブースターと、CRS-8ミッションでISSを訪れたドラゴン宇宙カプセルが再利用されました。

計画と打ち上げまでの経緯

このミッションの背景には、2015年初頭にNASAがスペースXに対し、商業補給サービスに関する3回分の追加契約（CRS-13からCRS-15）を承認したことがあります。当初、NASAの監察官報告書では、本ミッションは2018年2月に予定されていました。しかし、その後の計画変更により、打ち上げ日は2018年2月9日から3月13日へと遅延し、最終的には2018年4月2日に設定されました。

打ち上げは協定世界時（UTC）2018年4月2日20時30分、フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地の第40発射施設から行われました。機体には、高性能型のファルコン9フル・スラスト構成のロケットが用いられました。

ISSとのランデヴーおよびドッキング

ドラゴン宇宙カプセルは、打ち上げから2日後の2018年4月4日にISSへ接近しました。協定世界時10時40分、宇宙ステーションのロボットアームであるカナダアーム2によって捕捉されました。その後、同日13時には、ISSのハーモニー・モジュールの地球側（天底）にあるドッキングポートに無事係留されました。

ISS滞在と地球への帰還

ドラゴンカプセルは、ISSに31日間滞在しました。係留が解除されたのは、予定通り協定世界時2018年5月5日05時30分でした。同日13時23分には、カナダアーム2からリリースされ、自動的にISSから安全な距離まで遠ざかりました。その後、協定世界時18時06分に軌道離脱のための噴射を行い、19時03分には太平洋に着水しました。

着水したカプセルはスペースXの回収チームによって迅速に回収され、ロサンゼルス港へ運ばれました。このCRS-14ミッションでは、1,743キログラム（3,843ポンド）の貨物が地球へ持ち帰られました。

第1段ブースターの処遇

興味深い点として、通常は回収が試みられるファルコン9ロケットの第1段ブースターについては、このミッションでは回収は行われませんでした。これは、ブースターが飛行できる軌道の限界を検証するための、実験的な機動を実施するために利用されたためです。

搭載貨物

NASAはスペースXとの契約に基づき、CRS-14ミッションでISSへ運ばれる主要な貨物や、打ち上げの正確な日時、ドラゴンカプセルがたどる軌道の詳細などを決定しました。

このミッションでISSへ運ばれた貨物の総重量は2,647キログラム（5,836ポンド）に達しました。このうち、ISSの船内へ保管される与圧貨物は1,721キログラム（3,794ポンド）、そして船外に設置される非与圧貨物は926キログラム（2,041ポンド）でした。

非与圧貨物には、主に3つの船外実験装置が含まれていました。これらは、大気・宇宙相互作用モニター（ASIM）、材料曝露実験装置飛行施設（MISSE-FF）、そしてISSのポンプ流量制御システム（PFCS）の軌道上交換ユニットです。

アメリカの国立研究所からの複数の貨物も搭載されており、その一つに「RemoveDEBRIS」ミッションがありました。このミッションでは、ISSから小型の衛星を展開し、将来的な宇宙デブリ除去技術の有効性を軌道上で評価する計画でした。具体的には、ミッションで放出された試験用のデブリに対し、銛や網を使用して回収を試みる実験が行われました。ミッション終了時には、RemoveDEBRIS衛星自体が新たなデブリとならないよう、大型のドラッグセイルを展開して軌道離脱を加速させる設計となっていました。

また、IT企業のHP社からは、最新のノートパソコンと共に、ISSのデステニーモジュール内に設置される新しいインクジェットプリンターがNASAからの契約に基づいて搭載されました。

ISSへ届けられた貨物の内訳は以下のようになっています。

科学研究：1,070 kg（2,359 lb）
乗組員補給物資：344 kg（758 lb）
宇宙船ハードウェア：148 kg（326 lb）
船外活動装備：99 kg（218 lb）
コンピューター資材：49 kg（108 lb）
新しいHP製ノートパソコン
HP製エンヴィ インクジェットプリンター
ロシアのハードウェア：11 kg（24 lb）
外部貨物（非与圧）：926 kg（2,041 lb）
大気・宇宙相互作用モニター（ASIM）
材料曝露実験装置飛行施設（MISSE-FF）
ポンプ流量制御サブアセンブリー（PFCS）

CRS-14ミッションは、ISSへの定期的な物資補給と科学実験の機会を提供すると同時に、スペースXによる宇宙機材の再利用技術の実証、さらには宇宙デブリ対策技術など、将来的な宇宙活動に繋がる重要な実験や技術開発を支援する役割を果たしました。

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