スマーフ

スマーフとは

スマーフ（英語：Smurf）は、ベルギーの漫画家ピエール・クリフォール（愛称ペヨ）による漫画に登場する架空の種族です。フランス語では「Schtroumpf」（シュトルンフ）と呼ばれています。彼らは、ヨーロッパのどこかの森にひっそりと存在するスマーフ村に住む、青い肌と丸い鼻を持つ小さな妖精たちです。英語圏では、ハンナ・バーベラ・プロダクションが制作したアニメ番組を通じて広く知られるようになりました。

歴史

誕生

スマーフは、1958年 10月23日に、ペヨが雑誌『スピルー』で連載していた漫画『Johan & Pirlouit』（ジョアンとピルルイ）の脇役として初めて登場しました。オリジナルであるフランス語の名称「Schtroumpf」は、ペヨが友人と食事中に咄嗟に発した言葉「Passe-moi le schtroumpf.（シュトルンフを取ってくれ）」から生まれた造語です。

この名前は、後に30以上の言語に翻訳され、「Smurf」と訳される言語も多く存在します。スマーフが登場した『ジョアンとピルルイ』は、フランスやドイツでも出版され、その人気を受けて、スマーフ自身の漫画シリーズが開始されると、世界的な大成功を収めることとなりました。

ペヨ自身は、『ジョアンとピルルイ』を自身の代表作としており、スマーフの過剰な成功には複雑な感情を抱いていたとされています。

原作漫画

スマーフの漫画は、25カ国語に翻訳され、特にフランス語圏ではバンド・デシネ（フランス語圏の漫画）の古典として親しまれています。ペヨの死後、息子のティエリー・キュリフォールと漫画家パスカル・ギャレーに引き継がれ、現在もシリーズは継続中です。漫画本の累計売上は全世界で5000万部を超えています。

日本では、1985年にセーラー出版から『スマーフ物語』として全15巻が刊行されました。これは原書12巻分を再構成したものでしたが、書店での売れ行き不振により絶版となりました。しかし、キャラクター商品の人気を受けて、2002年に新装版で復刊。その後、映画版の公開に合わせて、2011年からは小峰[[書店]]より『スマーフ』として復刊され、現在も刊行が続けられています。

主な漫画作品

以下は、スマーフの漫画の主な作品です。日本語版のタイトルが複数存在する場合は、併記しています。

1: Les Schtroumpfs noirs （『黒いスマーフ』 / 『スマーフ危機いっぱつ!』） - 1963年
2: Le Schtroumpfissime（『キングスマーフ』） - 1965年
3: La Schtroumpfette（『恋人スマーフェット』 / 『いとしのスマーフェット』） - 1967年
4: L'Œuf et les Schtroumpfs （『スマーフと不思議なタマゴ』） - 1967年
5: Les Schtroumpfs et le Cracoucass （『怪鳥クラッカラス』） - 1969年
6: Le Cosmoschtroumpf （『コスモスマーフ』） - 1970年
7: L'apprenti Schtroumpf （『見習いスマーフ』） - 1971年
8: Histoires de Schtroumpfs （『スマーフコント集』） - 1972年
9: Schtroumpf vert et vert Schtroumpf （『スマーフ語戦争』） - 1973年
10: La soupe aux Schtroumpfs （『スマーフスープと大男』） - 1976年
11: Les Schtroumpfs olympiques （『オリンピックスマーフ』） - 1983年
12: Le Bébé Schtroumpf （『ベビースマーフ』） - 1984年
13: Les P'tits Schtroumpfs - 1988年
14: L'Aéroschtroumpf - 1990年
15: L'Étrange Réveil du Schtroumpf paresseux - 1991年
16: Le Schtroumpf financier - 1992年
17: Le Schtroumpfeur de bijoux - 1994年
18: Docteur Schtroumpf - 1996年
19: Le Schtroumpf sauvage - 1998年
20: La Menace Schtroumpf - 2000年
21: On ne schtroumpfe pas le progrès - 2002年
22: Le Schtroumpf reporter - 2003年
23: Les Schtroumpfs joueurs - 2005年
24: Salade de Schtroumpfs - 2006年
25: Un enfant chez les Schtroumpfs - 2007年
26: Les Schtroumpfs et le Livre qui dit tout - 2008年
27: Schtroumpf les Bains - 2009年
28: La Grande Schtroumpfette - 2010年
29: Les Schtroumpfs et l'Arbre d'or - 2011年
30: Les Schtroumpfs de l'ordre - 2012年
31: Les Schtroumpfs à Pilulit - 2013年
32: Les Schtroumpfs et l'Amour sorcier - 2014年
33: Schtroumpf le héros - 2015年
33: Les Schtroumpfs et le Demi-génie - 2016年
34: Les Schtroumpfs et les Haricots mauves - 2017年
35: Les Schtroumpfs et le Dragon du lac -　2018年
36: Les Schtroumpfs et la Machine à rêver - 2019年
37: Les Schtroumpfs et le Vol des cigognes - 2020年

アニメーション

スマーフのアニメーションは、初期の白黒アニメから、長編アニメ、テレビシリーズ、そしてCGアニメへと進化してきました。

1965年には、90分の白黒アニメ映画『Aventures des Schtroumpfs』が制作されましたが、あまり知られていません。
1976年には、『ジョアンとピルルイ』の映画化である『La Flûte à six schtroumpfs』（6つの穴のフルート）が制作・公開されました。
1980年から1989年にかけては、ハンナ・バーベラ・プロダクション制作のテレビアニメシリーズ『The Smurfs』がNBCで放映され、大ヒットしました。このアニメシリーズは、デイタイム・エミー賞の子供向け番組賞を2度受賞するなど、高い評価を受けています。
日本では、『The Smurfs』が『小さな森の精あいあむ!スマーフ』としてテレビ東京系列で放送されました。
2021年からは、CGアニメ版『スマーフ』がベルギーやドイツ、アメリカなどで放送されています。日本ではNHK Eテレで2022年から放送開始されました。

CG映画

2011年以降、実写とCGIアニメーションを組み合わせた3D映画が公開され、新たなファン層を獲得しました。

2011年：『スマーフ』
2013年：『スマーフ2 アイドル救出大作戦!』
2017年：『スマーフスマーフェットと秘密の大冒険』

音楽

オランダ人歌手のヴァーデル・アーブラハムが、スマーフをテーマにした楽曲をリリースし、世界的なヒットとなりました。特に有名なのは、『't Smurfenlied』（The Smurf Song）です。

日本では、ザ・ブレッスン・フォーがカバーし、LPやEPが発売されました。

キャラクター

スマーフは、リンゴ3つ分の身長の、可愛らしい青い妖精です。白い帽子とズボンを身につけており、それぞれの個性に合わせてアクセサリーを身に着けています。好物はサルサパリラという葉です。

スマーフ村には100人以上のスマーフが住んでおり、それぞれ異なる性格や特徴を持っています。主なキャラクターは以下の通りです。

パパスマーフ：村の長老で、赤い帽子とズボンが特徴。魔法と科学の知識を持ち、みんなを導きます。
スマーフェット：村で唯一の女の子スマーフ。ブロンドの髪と白いワンピースが特徴。
ブレイニー：大きな丸メガネをかけた秀才のスマーフ。知識をひけらかすが、トラブルメーカーになることも。
ヘフティ：腕にハートのタトゥーがある力持ちのスマーフ。筋トレやスポーツが好き。
クラムジー：不器用でドジなスマーフ。愛嬌がある。
ペインター：芸術家のスマーフ。黒い蝶ネクタイと赤いジャケットを身に着けている。
ジョーキー：いたずら好きのスマーフ。爆発するプレゼントを渡す。
グリーディ：食いしん坊のスマーフ。シェフスマーフと同一人物の場合もある。
グラウチー：不機嫌でへそ曲がりなスマーフ。「おれやだね」が口癖。
レイジー：怠け者のスマーフ。いつでもどこでも寝ている。
ハンディ：発明家のスマーフ。オーバーオールを着用し、鉛筆を耳にかけている。
ハーモニー：音楽好きのスマーフ。いつもラッパを持ち歩いている。
バニティ：うぬぼれ屋のスマーフ。鏡を持ち歩いている。
ファーマー：農業家のスマーフ。作物を育てている。
ドリーミー: 冒険に憧れるスマーフ。
ポエット: 詩人のスマーフ。詩作に苦労している。
テイラー: 仕立て屋のスマーフ。村の服を作っている。
ベビースマーフ：コウノトリによって運ばれてきた赤ん坊スマーフ。
スマーフリングス：子供のスマーフたち。ナット、スナッピー、スラウチー、サセットがいる。
グランパスマーフ：パパスマーフの父親。スマーフで一番の長生き。
スケアディ：臆病なスマーフ。
ストーム: 活発なスマーフ。
ブロッサム: 優雅なスマーフ。
リリー: 優しいスマーフ。
ウィロー: 知的なスマーフ。
メロディ: 音楽好きなスマーフ。

敵役

ガーガメル：スマーフを憎む悪い魔法使い。スマーフを捕まえようと企んでいます。
アズレール：ガーガメルのペットの猫。スマーフを食べたがっています。

スマーフの世界

スマーフ語

スマーフ語は、単語「スマーフ」を多用し、名詞や動詞が「スマーフ」に置き換えられるのが特徴です。

例：「すばらしいね！」→「スマーフだね！」

スマーフ村

スマーフ村は、森の奥深くに存在するスマーフたちが暮らす村です。キノコのような形をした家で生活しています。

その他のメディア

公共広告

2005年には、ユニセフが制作した、スマーフの村が爆撃される反戦広告が話題となりました。

イメージキャラクター

日本では、雪印乳業の「チーズキャッチ」のイメージキャラクターとして起用されました。

キャラクター商品

日本では、1984年にセーラー万年筆がキャラクター文具を販売。2010年からは、アパレルや雑貨など幅広い商品が展開されています。

ゲーム

2021年には、Xbox One、Xbox Series X/S|Xbox Series X_S、Steam向けにゲーム「スマーフ-邪悪な葉っぱ大作戦」が配信されました。