スュレイマン・デミレル

スュレイマン・デミレルとは

スュレイマン・デミレル（Süleyman Demirel）は、1924年11月1日にトルコのウスパルタ県アタベイ郡に生まれ、2015年6月17日に亡くなった著名な政治家です。彼は中道右派政党である公正党や正道党を指導し、首相や大統領などの重要な役職を歴任しました。

初期の経歴

デミレルは1949年にイスタンブール工科大学の建築学科を卒業し、その後は電気研究局に勤めました。1954年にはダム局の局長、1955年には国家水利庁の長官に就任するなど、公共事業に携わる中で経験を積んでいきました。このような背景が彼の政治キャリアのスタート地点となります。

政界入りと首相就任

1962年、デミレルは公正党の書記局メンバーに選ばれ、政治の世界に足を踏み入れました。1964年に党首の死去を受け、非議員でありながら彼は党首に選出されました。1965年の総選挙でウスパルタ選挙区から当選を果たし、公正党が過半数の議席を得たことにより、首相に就任します。

政権下では、工業化推進を含む多くの経済政策を展開し、1960年代後半には安定した政権を維持しました。しかし、1970年の予算審議に伴う混乱が政局を不安定にし、学生運動や労働争議も深刻化。これにより政府の施策が機能しなくなり、1971年の「書簡クーデター」に繋がりました。

政治的混乱とクーデター

書簡クーデター後、公正党は支持基盤を失い、政権を維持できなくなります。中道左派の共和人民党も議会の過半数を取得できなかったため、デミレルは、右派の国民救済党や民族主義者行動党などと連立政権を組みましたが、政局は依然として不安定な状況にありました。1980年には軍部が再び政治介入を行い、全政党が解散され、デミレルも一時拘束されました。

再登場と大統領就任

1987年に政治活動が再開されたデミレルは、公正党の後継政党である正道党の党首として政界に復帰します。1991年の選挙では連立を組むことで議会第一党となり、1993年には大統領に選出されました。彼の大統領就任後もトルコの政局は不安定であり、特に1996年には福祉党との連立要請に直面し、軍部との緊張関係が強まりました。

退任と晩年

2000年に大統領任期を終えた後、デミレルは政界から引退します。故郷のウスパルタやカザフスタンのアルマトゥには、彼の名を冠したスュレイマン・デミレル大学が設立されており、その影響は今も続いています。彼は90歳で生涯を閉じ、多くの政治的遺産を残しました。

スュレイマン・デミレルの政治家としてのキャリアは、トルコの現代史に深い影響を与え、彼の生涯は数々の試練と成功に彩られていました。

もう一度検索