スライマーン2世

スライマーン2世（1714年 - 1763年）は、サファヴィー朝の王位僭称者として1749年から1750年までその地位にありました。彼は元々ミール・サイード・モハンマド・マラシという名で、マシュハドにあるイマーム・レザー廟の管理者をしていました。

生涯

1748年10月、イランの貴族たちはシャー・ルフを王位に擁立しました。これは、イブラーヒームがシャーを自称してからわずか2か月後のことでした。イブラーヒームは敗北し逃亡しましたが、スライマーンは彼がマシュハドに入ることを許しませんでした。

1749年12月、スライマーンはサフィー2世スライマーンの娘を母に持つという血統を背景に、クルド人やジャライル朝の族長たちに擁立され、スライマーン2世として即位しました。しかし、この時シャー・ルフは盲目にされてしまいます。数か月後、シャー・ルフは再び王位に返り咲き、スライマーン2世は廃位され幽閉、そして盲目にされるという悲劇的な結末を迎えました。

スライマーン2世の短い在位期間は、当時のイランにおける政治的混乱を象徴しています。アフシャール朝のナーディル・シャーの死後、イランは権力闘争が激化し、各地で王位を主張する者が現れました。スライマーン2世もその一人であり、彼の擁立は、地域の有力者たちの思惑が複雑に絡み合った結果でした。

彼の生涯は、サファヴィー朝末期からアフシャール朝にかけてのイランの混乱期における、王位を巡る争いの激しさを物語るものとして、歴史に刻まれています。

参考文献
Floor, Willem, A Note on The Grand Vizierate in Seventeenth Century Persia, Harrassowitz Verlag, 2005, pp. 435 – 481
小牧昌平 (1997). “一八世紀中期のホラーサーン : ドッラーニー朝とナーデル・シャー沒後のアフシャール朝”. 東洋史研究 56 (2): 366-390. doi:10.14989/155132.

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