スラスト軸受

スラスト軸受について

スラスト軸受（英：thrust bearing）は、回転する機械部品において、軸方向に作用する力、すなわちスラスト、もしくは推力を受け止めるための軸受です。一般的に、スラスト・ベアリングとも呼ばれ、その主要な役割は、特定の機械が正しく機能するために、異常音や寿命の短縮を防ぐことにあります。

特に、平歯車や滑車のような機構では、円周方向に働く力を支えるためにラジアル・ベアリングが使用されることが多いですが、はすば歯車、かさ歯車、ねじ歯車のような複雑な機構では、回転時に軸方向に力が働くことがあります。このような場合、スラスト軸受の存在が不可欠です。なぜなら、スラスト軸受はそうした力を効果的に受け止め、機構の安定性を保つからです。

スラスト軸受の種類

スラスト軸受には様々な種類があります。一般的なものには次のようなタイプが含まれます：

• - スラスト玉[[軸受]]: 転がるボールを使用しており、主に比較的軽い負荷に適しています。
• - スラストアンギュラ玉[[軸受]]: アンギュラ型の転動体を使い、同時にラジアル方向の力も受けることができます。このため、自動車のハブなどに広く使用されています。
• - スラスト円筒ころ軸受: 円筒形状の転動体を用い、高い耐荷重性能を持ちます。
• - スラスト針軸受: 針状の転動体を用いており、狭いスペースでの使用に適しています。
• - スラスト円すいころ軸受: 円すい形状のころを使用し、強大なトルクの伝達が可能です。
• - スラスト自動調心ころ軸受: 自動的に軸のずれを調整できる特性を持つため、振動や誤差を大幅に軽減します。

スラスト軸受の構造

スラスト軸受は、主に三つの構成要素から成り立っています。これらは、軌道板、転動体、保持器です。まず、軌道板は、軸側に嵌合する「軸軌道板」と、外周固定側に嵌合する「ハウジング軌道板」に分けられます。転動体は回転時に直接荷重を受ける部分であり、その形状により異なる性能を発揮します。保持器は、転動体を適切に配置するための部品です。

規格と互換性

日本国内では、スラスト軸受に関してはJIS（日本工業規格）で標準的な寸法や設計が規格化されています。これにより、異なるメーカー間でも互換性を保つことができ、スラスト軸受が必要とされる様々な場面で活用されています。特に注目すべきは、以下のJIS規格です：

• - JIS B1512: 転がり[[軸受]]におけるスラスト軸受の主要寸法を規定。
• - JIS B1536: スラスト保持器付き針状ころ及びスラストワッシャの寸法や公差を規定。

これらの規格は、スラスト軸受の設計や製造において重要な指針を提供しています。圧倒的な信頼性を有するスラスト軸受は、機械工学や自動車産業など多岐にわたる分野で利用されています。

もう一度検索