スリック・レナード

ウィリアム・ロバート・"スリック"・レナード：ABAを制覇した名将の生涯

ウィリアム・ロバート・"スリック"・レナード（William Robert "Slick" Leonard, 1932年7月17日 - 2021年4月13日）は、アメリカ合衆国出身の元プロバスケットボール選手であり、卓越した指導者としてその名を basketball 界に刻みました。彼はヘッドコーチとしてインディアナ・ペイサーズを率い、ABA（アメリカン・バスケットボール・アソシエーション）において3度の優勝を成し遂げたことで広く知られています。その功績が認められ、2014年にはバスケットボール殿堂入りを果たしました。

選手としてのキャリア

インディアナ州テレホートで生まれたレナードは、高校時代からバスケットボールとテニスで才能を発揮しました。地元インディアナ大学に進学後、主力選手として1953年のNCAAトーナメント優勝に大きく貢献。その活躍は高く評価され、1954年にはオールアメリカ2ndチームに選出されました。

1954年のNBAドラフトでボルティモア・ブレッツから全体10位指名を受けたものの、兵役のため2年間はプレーできませんでした。1956年にNBA入りを果たした際、ブレッツは既に解散していたため、ミネアポリス・レイカーズに入団。エルジン・ベイラーと共にチームを牽引し、1959年にはNBAファイナルに進出しましたが、ボストン・セルティックスに敗れました。

1961年、エクスパンション・ドラフトで新たにNBAに加盟したシカゴ・パッカーズに移籍。1年目には平均5.4アシストを記録し、リーグ6位となりました。1962-63シーズン途中には、チーム名がゼファーズに変更されると同時にヘッドコーチに就任し、選手としては事実上引退状態となりました。シーズン終了後、正式に現役引退を表明しました。

選手としての通算成績は、426試合に出場、4,204得点、1,427アシスト（平均9.9得点、3.3アシスト）でした。

コーチとしての輝かしい実績

レナードは1962-63シーズン途中からシカゴ・ゼファーズのヘッドコーチを務め、1963年にはチームがボルティモア・ブレッツと改称して移転しました。1963-64シーズンまでチームを指揮した後、解任されました。

1968年、ABAのインディアナ・ペイサーズのヘッドコーチに就任。ロジャー・ブラウン、メル・ダニエルズ、ジョージ・マクギニスといった名選手を擁し、ABAファイナルに5度進出、うち3度の優勝を飾るという輝かしい実績を残しました。1975年からはゼネラルマネージャーも兼任しました。

1976年のABAとNBAの合併の際、ペイサーズはABAからNBAへの加入を認められた4チームのうちの1つとなりました。しかし、財政的な負担が重く、NBAではプレーオフに進出することはできませんでした。1979-80シーズン終了後、レナードはペイサーズのヘッドコーチとゼネラルマネージャーを辞任しました。

NBAとABAを合算したコーチとしての戦績は、14シーズンで573勝534敗、勝率.518でした。

引退後もバスケットボール界に貢献

1985年、レナードはペイサーズの専属コメンテーターとなり、30年以上にわたってその職を務めました。2011年には心臓発作、2018年には転倒による骨折に見舞われましたが、その後も職務に復帰しています。

ペイサーズでの通算529勝を記念し、1996年に彼の背番号「529」がチームの永久欠番となりました。1997年には、ABAオールタイムチームの偉大なヘッドコーチに選ばれました。

2014年、コーチとしてバスケットボール殿堂入りを果たし、インディアナ大学スポーツ殿堂やインディアナ州バスケットボール殿堂にもその名が刻まれています。

2021年、レナードはインディアナ州インディアナポリスで88歳で永眠しました。彼のバスケットボール界への貢献は、これからも語り継がれるでしょう。

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