スルピリド

スルピリド（Sulpiride）について

概要

スルピリドは、ベンズアミド系に分類される定型抗精神病薬であり、精神障害の治療に使用されてきました。日本では1970年代に、統合失調症やうつ病、さらには胃・十二指腸潰瘍の治療が承認されています。過去には一般的に使用されていた薬剤ですが、現在は新しい治療法が増えてきた影響で、使用は減少傾向にあります。他国では、特にヨーロッパで広く販売されていますが、北アメリカではまだ承認を得ていません。スルピリドは「ドグマチール」や「アビリット」、および「ミラドール」といった商品名で知られています。

効能・効果

スルピリドの適応症は複数あり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍には50mgの用量で使用されます。また、うつ病やその関連状態への使用は低用量、そして高用量では統合失調症に用いられます。しかし、精神病性特徴を伴わない中等症や重症のうつ病には使用が推奨されていないという研究結果もあります。

使用に関するガイドライン

日本うつ病学会による治療ガイドラインでは、抗精神病薬による副作用が懸念されているため、高齢者に対しては特に注意が必要です。可能な限り使用を控え、推奨する使用量は1日50mg以下とされています。このようなガイドラインがあるのは、スルピリドがもたらす精神的・身体的な副作用のためです。

副作用

スルピリドの服用にはいくつかの副作用が報告されています。高用量で服用した場合、以下のような症状が現れることがあります：吐き気、口の渇き、震え、立ち眩み、便秘、肝機能障害、不整脈、さらにはプロラクチン値の上昇など。この薬を服用した場合、眠気が生じることもありますが、16時以降の服用により不眠を引き起こす可能性があるため、その時間帯での服用は避けることが望ましいとされています。

また、薬剤性パーキンソン症候群が発生することもあり、震えや筋肉の硬直感、焦躁感などの症状が見られることがあります。この副作用は、特に服用開始から2ヶ月以降に症状が出やすくなっています。男性においてはテストステロンの減少により性欲の低下や射精困難が生じ、女性ではホルモン異常により生理不順や乳汁分泌が見られることもあるため、特に注意が必要です。

薬理作用

スルピリドはドーパミン受容体に対し、選択的に作用する特性を持っています。他の抗精神病薬に比べ、眠気や沈静の副作用が比較的少ないとされるのはそのためです。抗うつ作用については、ドーパミンの分泌増加にかかわっています。一方で、消化管内のドーパミン受容体を遮断することによって、消化管の運動を促進し、潰瘍に対するダメージを軽減します。

使用の歴史

スルピリドは1973年に「ドグマチール」として日本で販売が開始され、その後1981年にスルピリド錠が発売されました。フランスでの最初の開発から、スルピリドは他の多くの国で利用されているものの、北アメリカでは未だ使用が認められていない薬剤です。

結論

スルピリドは、特定の精神的および身体的な問題に対して効果がある反面、各種の副作用にも十分な注意が必要です。高齢者に対しては慎重に使用することが求められています。医師の指導を仰ぎながら、適切な用量での利用が極めて重要です。

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