スレーター・マーティン

スレーター・マーティン：50年代NBAを彩った名ガード

スレーター・マーティン（Slater Martin, 1925年10月22日 - 2012年10月18日）は、アメリカ合衆国テキサス州出身のバスケットボール選手。1950年代のNBAで、その名を轟かせました。テキサス大学オースティン校卒業後、ミネアポリス・レイカーズ、セントルイス・ホークスで活躍し、計5回の優勝に大きく貢献。1982年にはバスケットボール殿堂入りを果たし、その功績は永遠に語り継がれています。2012年10月18日、86歳で生涯を閉じました。

生い立ちと大学時代

スレーター・ネルソン・マーティン・ジュニアは、ジェファーソン・デイビス高校時代にチームを州チャンピオン連覇に導きました。テキサス大学オースティン校に進学後は、ライバル校との試合で49得点を記録するなど、その才能を発揮。4年目のシーズンには平均16.0得点を挙げ、オールアメリカンチームにも選出されました。また、第二次世界大戦中に2年間、海軍に従軍した経験も持っています。

NBAキャリア

ミネアポリス・レイカーズ時代

大学卒業後、マーティンはミネアポリス・レイカーズに入団。当初は控えガードとしてプレイし、1年目のシーズンは4.0得点2.2アシストの成績でした。当時のレイカーズは、ジョージ・マイカン、ジム・ポラード、ヴァーン・ミッケルセンといったスター選手を擁する強豪チームであり、マーティンは彼らをサポートする役割を担いました。レイカーズはこのシーズンも優勝し、マーティンは早くもチャンピオンリングを獲得します。

2年目からは先発に昇格。チームの中心はマイカンらでしたが、マーティンは司令塔として彼らにパスを供給し、チームの勝利に貢献しました。レイカーズはその後、前人未到のファイナル三連覇を達成。マーティンも1953年にはオールスターに選出されるなど、スター選手としての地位を確立しました。マイカン引退後、チーム内での重要性はさらに高まり、1954-55シーズンには13.6得点5.9アシスト、翌シーズンには13.2得点6.2アシストとキャリアハイの数字を記録。しかし、チームの成績は下降線を辿り、マーティンはニューヨーク・ニックスへ移籍することになります。

セントルイス・ホークス時代

1956-57シーズン、ニックスで13試合に出場した後、セントルイス・ホークスへ移籍。ホークスにはジャック・マクマホンという司令塔がいたため、マーティンはシューティングガード的な役割を担いました。また、このシーズンの8試合ではヘッドコーチも務めています。ホークスもボブ・ペティット、エド・マコーレー、クリフ・ヘイガンといったスター選手を擁し、1957-58シーズンにはファイナルでボストン・セルティックスを破り、優勝を果たしました。マーティン自身も5つ目のチャンピオンリングを手に入れています。その後、マクマホンがチームを去ったため、マーティンは再び司令塔としてチームを牽引。ホークスを50年代を代表する強豪チームへと押し上げました。ホークスで4シーズンプレイした後、1959-60シーズンに現役を引退。

NBA通算成績は、745試合出場、7,737得点（平均9.8得点）、3,160アシスト（平均4.2アシスト）でした。

プレースタイルと業績

身長178cmと、当時のNBAでは小柄な選手でしたが、そのハンディを克服し、低身長選手として成功を収めました。愛称は、漫画の登場人物に似ていたことから「Dugie」と呼ばれていました。

主な業績は以下の通りです。

NBAファイナル制覇：1950年, 1952年, 1953年, 1954年, 1958年
オールスターゲーム：1953年－1959年
オールNBA2ndチーム：1955年－1959年
バスケットボール殿堂入り

引退後

引退後は、ABAのヒューストン・マーベリックスでヘッドコーチを2シーズン務めました。NBA/ABAでのコーチ通算成績は98試合37勝61敗、勝率.378でした。

また、母校であるジェファーソン・デイビス高校では、彼の名前を冠したチャリティーゴルフ大会が開催され、毎年多額の寄付金を集めています。

スレーター・マーティンは、その卓越したスキルとリーダーシップで、1950年代のNBAを彩った偉大な選手として、バスケットボール史に名を刻んでいます。

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