スローなブギにしてくれ (I want you)

「スローなブギにしてくれ (I want you)」について

南佳孝が1981年1月21日にリリースした「スローなブギにしてくれ (I want you)」は、彼の通算10作目のシングルで、瞬く間に大ヒットを記録しました。この楽曲は、片岡義男の短編小説を原作とし、東映と角川春樹事務所による同名映画のために制作された主題歌です。南佳孝が手掛けた音楽は、その特異な歌い出しとともに、リリースから間もなくオリコンチャートで6位を獲得し、売り上げは28万5千枚に達しました。

この楽曲が生まれた背景には、角川春樹が映画を製作していた頃、愛人の一人である安井かずみが南のファンであったことが影響しています。彼女が彼のアルバムを聴いていたことから、片岡義男の原作と重なる部分を感じ取った角川は、映画化に際して南佳孝にオファーを行い、主題歌としてこの曲を制作することになりました。さらには、シングルのジャケットには映画で主演を務めた浅野温子の写真が使用され、視覚的にも作品の魅力を引き立てました。

シングルのリリースから約1か月後には、南佳孝の6作目のアルバム『SILK SCREEN』にも収録され、その人気を不動のものとしました。さらにこの曲は、食玩CD『J'sポップスの巨人たち フォーク/ニューミュージック黄金時代編』にも南の代表曲の一つとして収録されています。このように「スローなブギにしてくれ (I want you)」は、南佳孝が新たな音楽の地平に立つための大きな一歩となったのです。

また、この楽曲は多くのアーティストによってカバーされています。中森明菜は2003年のアルバム『歌姫3 〜終幕』に収録し、斉藤和義も2007年に発表した『紅盤』にこの曲を取り入れました。さらに、中村あゆみやCHEMISTRY、GLIM SPANKYなど、さまざまな世代のアーティストがこの楽曲の魅力を再解釈し、彼らのアルバムに収録することで新たなファン層を広げています。これらのカバーは、オリジナルの魅力を保ちながらも新しい解釈を加え、現代のリスナーたちに新たな感動を提供しています。

この楽曲は、映画『スローなブギにしてくれ』のオリジナルサウンドトラックとしても用いられたほか、1991年にはホンダのシビックのイメージソングとしても起用されるなど、長きにわたって多くの人々に親しまれています。南佳孝の「スローなブギにしてくれ (I want you)」は、ただの楽曲にとどまらず、音楽と映像の両方で確立された文化的なアイコンとなり、時代を超えて愛される名曲として語り継がれています。

もう一度検索