スローボール

スローボールの魅力と歴史

スローボールは野球において特異な球種として知られ、通常の球速が100km/h未満で、特徴的な山なりの軌道を持っています。また、英語ではイーファス・ピッチ（Eephus pitch）やブルーパー・ピッチ（blooper pitch）と呼ばれます。

起源と歴史

スローボールの初の記録は1890年代に遡り、ビル・フィリップスによって投じられたと言われています。その後、多くの著名な選手がこの独特な球種を使用しました。特に1940年代、ピッツバーグ・パイレーツのリップ・シーウェルが投じてから脚光を浴びました。シーウェルの投球スタイルは特異であり、彼が大怪我を抱えることを契機にスローボールを編み出しました。

シーウェルは1942年春にデトロイト・タイガースとのオープン戦に登板し、その時にスローボールを投げたことで注目を集めました。彼の仲間が名付けた"イーファス・ピッチ"という呼称は、特にこの球種の魅力を伝えています。彼は1949年まで現役を続け、この球を本塁打にされたのはわずか1度という成果を残しました。

各国での名称

日本では、スローボールは一般的に「スローボール」と呼ばれ、特に遅いものは「超スローボール」と称されます。スローボールの記録は1923年に発行された書籍にも登場していますが、現在のチェンジアップの定義とは異なります。この地域では金田正一や渡辺省三などが名選手として知られており、それぞれ独自の名称が付けられています。アメリカでは"イーファス・ピッチ"が一般的ですが、これは他の球速差のある球にも使われることがあります。

投球の軌道と効果

スローボールの投げ方は非常に特徴的であり、通常の投球フォームとは異なるゆっくりした振りが求められます。回転数が少ないため、大きく縦に変化することが多く、たまにナックルボールのように揺れながら飛ぶことがあります。この球を打つことは打者にとって難易度が高く、実際にスローボールに対する練習は少ないため、「分かっていても打てない」状況が生まれます。

スローボールは通常多投されず、打者の気を引くために使用されるケースが多いです。特に、相手投手が優位に立っている状況で投入されることがあり、打者の心理を乱す要素として機能します。また、球速が極端に遅いことで、ストライクゾーンに入れるのが難しく、場合によってはストライク判定を受けることが難しいとされます。

球速

スローボールは極端な山なりの軌道を持つため、計測器によって計測不能になることもあります。球速はだいたい50～60km/hとされることが多く、特に低速に関しては様々な記録が存在します。1979年には高橋重行が47km/hという極端な記録を残したことで話題を呼びました。

主な使用選手

スローボールを得意とする投手は数多く存在します。MLBではリップ・シーウェル、サチェル・ペイジ、ビル・リーなどが名を馳せました。日本では金田正一や渡辺省三が特に知られています。それぞれの選手が独自のスタイルとリリースの仕方でスローボールを投じ、球史に名を刻んでいます。

結論

スローボールは、投手にとっては戦術的に重要な球種であり、打者にとっては打ちづらい球種として知られています。多くの選手によってその魅力が引き出され、時代を超えて受け継がれています。今後もスローボールの変化や新たな使用方法が期待される中、野球の世界での存在感は変わらないことでしょう。

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