スンダ海峡

スンダ海峡：インドネシアの要衝

スンダ海峡は、インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間に位置する海峡であり、ジャワ海とインド洋を結ぶ重要な水路です。この海峡は、その名の由来を西ジャワ州を意味する「Pasundan」や、その地に住むスンダ族に求めています。

地理

スンダ海峡は、北東から南西の方向に伸びており、最も狭い部分では約24kmです。西側は水深が深いものの、東側に向かうにつれて浅くなり、海底地形も複雑になります。特に東端部では水深がわずか20m程度しかなく、砂州や活火山が存在します。このため、潮の流れが時間帯によって激しく変動し、スコールによる視界不良も加わり、航行が非常に困難な場所として知られています。また、点在する島々やジャワ島沿岸の石油掘削リグといった人工障害物も、航行の難易度を高めています。

歴史的には、マラッカ海峡と並び、南シナ海とインド洋を結ぶ主要な航路として利用されてきました。特に17世紀から18世紀にかけては、オランダ東インド会社が香料諸島への航路として活用しました。しかし、その狭さと浅さ、正確な海図の不足から、現代の大型船舶には不向きであり、ほとんどの大型船はマラッカ海峡を利用しています。

海峡内には、サンギアン島、セベシ島、セブク島、パナイタン島など、多くの火山島が点在しています。中でも最も有名なのはクラカタウ火山で、1883年の大噴火は、海峡周辺に壊滅的な被害をもたらしました。噴火による巨大な津波や軽石の雨により、多くの地域が破壊され、一部地域は現在も無人となっています。クラカタウ火山の噴火により、スンダ海峡の地形は大きく変化し、火山活動の痕跡が今もなお残っています。

海運

スンダ海峡は、スマトラ島とジャワ島を結ぶ国内交通の要でもあります。特に、バカウヘニ港とメラク港を結ぶ航路は、多くのフェリーや高速船が24時間体制で運航しています。かつて宇高連絡船として活躍した「阿波丸」も、この航路で「ティティアン・ムルニ（純粋な小さな橋）」という名で活躍しました。

また、国際的にも、大西洋から喜望峰を経由して東アジアへ向かう船舶や、オーストラリアから東南アジア・東アジアへ向かう船舶にとって重要な航路となっています。年間約2,280隻の船舶がスンダ海峡を通過し、年間通航貨物量は約1億トン、金額にして約50億米ドルに相当します。

バタビア沖海戦

1942年3月1日には、スンダ海峡海戦（バタビア沖海戦）が勃発しました。連合軍の巡洋艦2隻が日本軍の上陸作戦部隊と交戦し、両軍に損害が出ました。

橋の建設計画

スンダ海峡に橋を架ける計画は、1960年代から存在し、1990年代には具体的な提案もなされました。2007年には、ウラール島、サンギアン島、プラジュリッ島を利用した4つの部分から成る吊り橋の建設計画が発表され、最大支間距離は明石海峡大橋を上回る規模となる予定でした。しかし、2014年には、インドネシアの新大統領がこの計画を棚上げしました。


スンダ海峡は、その複雑な地形と歴史的な背景から、多くの物語を秘めた場所です。航海の難しさ、火山活動の脅威、そして経済や軍事的な重要性など、様々な側面を持ち合わせており、これからもインドネシアの重要な海峡として存在し続けるでしょう。

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