バタビア沖海戦

バタビア沖海戦：太平洋戦争における激戦の記録

1942年2月下旬、連合軍の東南アジア防衛線は崩壊寸前でした。日本軍はジャワ島攻略作戦を開始し、連合軍の残存艦隊はジャワ島西方海域で激しい戦闘を繰り広げます。その中で起こったのが、バタビア沖海戦です。この海戦は、日本海軍とABDA連合艦隊（アメリカ、オーストラリア、オランダなどの連合艦隊）による夜間砲雷撃戦として知られ、連合軍側からはスンダ海峡海戦と呼ばれています。

海戦の背景

直前のスラバヤ沖海戦で、連合軍は壊滅的な打撃を受けました。オランダ海軍のカレル・ドールマン少将は戦死、連合軍の主力艦も多数失われました。アメリカ海軍の重巡洋艦ヒューストンとオーストラリア海軍の軽巡洋艦パースは、ドールマン少将の遺言に従い、バタビア（現在のジャカルタ）に撤退します。しかし、バタビアも危険な状況にあり、ABDA司令部は両艦にスンダ海峡を通ってチラチャップへの移動を命令しました。

一方、日本軍は西部ジャワ島攻略作戦のため、多数の輸送船団を派遣していました。この船団の護衛にあたっていたのは、第五水雷戦隊司令官原顕三郎少将率いる第三護衛隊でした。さらに第七戦隊なども間接支援を行い、南方部隊本隊や南雲機動部隊も作戦全体を支援していました。

日本軍輸送船団は、連合軍艦隊からの襲撃を警戒し、何度も航路を変更していました。そのため、日本軍部隊の連携や作戦の遂行は困難を極めていました。また、日本軍内部でも、上陸作戦の計画や実行方法を巡り、陸海軍間で意見の食い違いがありました。

参加艦艇

日本軍側:

第三護衛隊（軽巡洋艦名取、駆逐艦数隻）
第七戦隊（重巡洋艦数隻、駆逐艦数隻）
輸送船団（56隻）
その他支援艦艇

連合軍側:

アメリカ海軍重巡洋艦ヒューストン
オーストラリア海軍軽巡洋艦パース
* オランダ海軍駆逐艦エヴェルトセン

海戦の経過

ヒューストンとパースは、日本軍の輸送船団を発見し攻撃を開始しました。しかし、日本軍の駆逐艦や軽巡洋艦による激しい反撃を受けました。日本軍は、魚雷や砲撃で連合軍艦艇に大きな損害を与えます。

戦闘は夜間に行われ、視界不良の中で、両軍とも激しい砲雷撃戦を展開しました。日本軍は、輸送船団への攻撃を阻止するために、煙幕を使用するなど、巧妙な戦術を用いました。

一方、日本軍は、誤射により自軍の輸送船を数隻失いました。その中には、今村均陸軍中将が乗艦していた輸送船も含まれていました。この誤射の原因については、複数の魚雷発射による射線重複や、月明かりと薄靄による視界不良などが考えられています。

激しい戦闘の結果、ヒューストンとパースは撃沈されました。エヴェルトセンも座礁し放棄されました。日本軍の損害は軽微でした。

海戦後

バタビア沖海戦は、日本海軍の一方的勝利に終わりました。この海戦は、ジャワ島攻略作戦の成功に大きく貢献しました。しかし、日本軍の誤射による損害は、作戦の遂行に少なからず影響を与えたと推測されます。また、この海戦は、夜間戦闘における戦術や連携の重要性を改めて示しました。

参考文献

この記述は、様々な史料を元に作成されています。具体的な参考文献は、紙幅の都合上割愛しますが、様々な戦史研究書や艦艇史、関係者の証言などを参考としています。これらの文献には、海戦の詳細な経過や参加艦艇、損害状況などが記載されています。興味のある方は、これらの文献を調べてみることをお勧めします。

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