スヴィリ川

スヴィリ川：ロシアの湖水地方を繋ぐ水路

スヴィリ川は、ロシア西部のレニングラード州北東部を流れ、ネヴァ川水系に属する河川です。ヨーロッパで2番目に大きいオネガ湖から流れ出し、ヨーロッパ最大の湖であるラドガ湖へと注ぎます。ラドガ湖に流れ込む河川の中で、最も水量が多い川として知られています。

地理

スヴィリ川は、古くからカレリア地方の南の境界線としての役割を果たしてきました。川沿いには、ポドポロージエやロジェイノエ・ポーリェといった主要な街が点在しています。

ラドガ湖に流れ込むスヴィリ川の三角州は、多様な生態系を育んでいます。砂浜、ヨシ原、沼地、フェン、移行湿地などが広がり、トウヒ、マツ、ヤナギ、セイヨウハンノキといった樹木が生い茂る森林が形成されています。この豊かな自然環境は、1994年にラムサール条約登録地として国際的に認められました。

交通と水利

スヴィリ川は、歴史的にバルト海とヴォルガ川を結ぶ重要な内陸交易路の一部でした。ピョートル1世の時代には、ラドガ湖の荒波を避けるためにネヴァ川とスヴィリ川を結ぶラドガ運河が建設され、スヴィリ川はヴォルガ・バルト水路の一部として組み込まれました。現在も内陸水路として物流に利用されており、地域経済を支えています。

また、スヴィリ川には2か所の水力発電所が設けられています。これらの発電所により、川は上スヴィリ川（93km）、中スヴィリ川（45km）、下スヴィリ川（80km）の3つの区間に区分されています。ポドポロージエ周辺では川幅が狭く、100m程度しかない場所や、船舶のすれ違いが困難な場所も存在します。

歴史

スヴィリ川沿いには、歴史的な建造物であるアレクサンドル＝スヴィルスキー修道院が残っています。修道院は17世紀に繁栄の絶頂を迎えましたが、エカチェリーナ2世の改革によって広大な所領を失いました。ソビエト連邦時代には、スターリン体制下で内務人民委員部（NKVD）が運営する悪名高いグラグ（強制労働収容所）の一つであるスヴィラーグが設置され、多くの囚人が林業などの過酷な労働に従事させられました。

第二次世界大戦中、フィンランドとの継続戦争（1941年 - 1944年）では、スヴィリ川周辺が激戦地となりました。川は国境線となり、両軍による激しい攻防が繰り広げられました。

スヴィリ川は、美しい自然、水路としての重要性、そして歴史的な背景が複雑に絡み合った、ロシアの重要な河川の一つです。

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