スヴェン3世 (デンマーク王)

スヴェン3世は、12世紀のデンマーク王であり、その治世は内乱と権力闘争に彩られました。1125年に、エーリク2世の庶子として生まれたスヴェン3世は、父の死後、王位を巡る争いに巻き込まれていきます。

1137年、父エーリク2世が地方貴族に暗殺されると、王位は従兄のエーリク3世が継承しました。この時、スヴェンは身の危険を感じ、ドイツへ逃れます。しかし、1146年にエーリク3世が退位すると、シェラン島の有力貴族に擁立され、デンマーク王として即位しました。しかし、この王位は平穏なものではありませんでした。ユトランド半島では、スヴェンの又従弟であるクヌーズ5世も王位を主張し、内戦が勃発します。

内戦初期、スヴェン3世は、後のヴァルデマー1世となる従弟のヴァルデマーと手を組み、優位に立ちました。クヌーズ5世を擁立していたルンド大司教エスキルも、スコーネとボーンホルム島の領地を条件にスヴェン3世側に寝返り、クヌーズ5世は孤立を深めていきます。両者はヴェンド十字軍で共に戦いましたが、十字軍解散後、再び対立を深めます。

1150年頃、スヴェン3世はヴァルデマーをシュレースヴィヒ公に任命し、クヌーズ5世を支援していたホルシュタイン伯アドルフ2世と戦います。1150年にはクヌーズ5世を追放することに成功しましたが、翌年にはクヌーズ5世が復帰し、スヴェン3世はローマ王コンラート3世の支援を求めます。1152年には、コンラート3世の後を継いだフリードリヒ1世に忠誠を誓い、王号を認められました。しかし、この状況も長くは続きませんでした。

1154年、クヌーズ5世と、スヴェン3世側から寝返ったヴァルデマーの反撃を受け、スヴェン3世はドイツへ亡命を余儀なくされました。3年の亡命生活を経て、1157年にザクセン公兼バイエルン公ハインリヒ獅子公の援助を受け、デンマークに帰国を果たします。そして、クヌーズ5世、ヴァルデマーと和睦し、デンマークを共同統治することになりました。この時、スヴェン3世はスコーネを統治することに合意しました。

しかし、この平和も束の間のものに終わります。1157年8月9日、ロスキレで開かれた祝宴において、スヴェン3世はクヌーズ5世を殺害します。この暴挙に対し、ヴァルデマーとその側近のアブサロンはユトランド半島へ逃亡し、軍勢を率いて反撃を開始しました。そして、10月23日、グラーテ・ヘーゼの戦いでスヴェン3世は敗北し、逃亡を試みますが、泥に馬の足を捕らわれ落馬してしまいます。最期は、農民たちによって殺害され、波乱に満ちた生涯を終えました。

スヴェン3世の死後、デンマークはヴァルデマー1世の単独統治となり、内乱は終結しました。スヴェン3世の治世は、激しい権力争いの歴史であり、その悲劇的な最期は、デンマーク史における重要な転換点となりました。

スヴェン3世は、1152年にマイセン辺境伯コンラート1世の娘アデラと結婚し、二人の子を儲けています。

エーリク - 夭折
ルートガルド - イストリア辺境伯ベルトルト1世と結婚

スヴェン3世の生涯は、王位を巡る争いの残酷さと、権力の本質を物語るものと言えるでしょう。彼の死は、デンマークの歴史に大きな影響を与え、その後の国家のあり方を決定づける出来事となりました。

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