スーダン解放軍

スーダン解放軍（SLA）は、スーダン西部のダルフール地方で活動する反政府武装勢力であり、スーダン解放運動（SLM）の軍事部門として知られています。2003年以降のダルフール紛争において、主要な軍事組織としての役割を果たしてきました。

成立と初期の活動

SLAは、2002年にダルフール解放戦線（DLF）として結成されました。当初はスーダンからの分離独立を目標としていましたが、2003年以降は、政府支援下の民兵組織ジャンジャウィードによる攻撃に対抗する組織へと変化しました。構成員は主にフール人で構成され、「ハルツーム政権を打倒し、民主的で統一されたスーダンを創る」ことを目標に掲げ、アブデルワヒド・モハマド・ヌールが指導者となりました。

組織の分裂と和平交渉

2006年1月には、正義と平等運動（JEM）と統合し、西部スーダン革命勢力同盟（ARFWS）を結成すると発表しましたが、この統合は5月までに不調に終わりました。その後、2006年5月には、ザガワ出身のミニ・ミナウィが率いるSLAミナウィ派が、反政府勢力の中で唯一、スーダン政府との和平合意（DPA）に応じました。しかし、フール人を中心とするSLA内部では、この合意内容に対する反対が強く、ヌールやアフメド・アブドゥルシャフィ・バッセイら和平反対派のグループが分裂しました。ヌールはフール人民衆からの支持を得ていましたが、組織としてはバッセイ派などがさらに分裂し、弱体化しました。

和平合意後の状況

ミナウィ派は、和平合意後、政府側について戦闘に参加するようになり、住民に対して暴力を振るうようになりました。2006年8月には、ミナウィ派以外のSLAが他の武装勢力と結成した国民救済戦線と、ミナウィ派の指揮するジャンジャウィードとの間で戦闘が発生しました。一方、ミナウィ自身は、オマル・アル＝バシール政権の特別顧問となり、2007年4月にはダルフール暫定地域機構の議長に就任しました。

和平の崩壊とさらなる紛争

しかし、和平合意は長くは続かず、2007年9月30日には、SLAが南ダルフール州ハスカニタのアフリカ連合ダルフール派遣団（AMIS）の基地を襲撃し、10月5日にはジャンジャウィードがAMISを襲撃するなど、再び紛争が激化しました。

このように、スーダン解放軍（SLA）は、ダルフール紛争の複雑な歴史の中で、様々な変遷を経験してきました。当初の分離独立を目指す勢力から、政府との和平合意に応じる派閥、そして再び紛争へと回帰する派閥など、その動向はダルフール地域の安定に大きな影響を与え続けています。

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