スーパーひかりモデル

スーパーひかりモデルについて

スーパーひかりモデルは、300系新幹線の開発を目的としてJR東海が製作した車両モックアップです。このモデルは、100系新幹線を基にして、一両分を半分に切った形状をしています。その結果、本モックアップはしばしば300系と呼ばれることもあります。

開発の背景

昭和時代、日本国有鉄道（国鉄）は「スーパーひかり」と名付けられた新幹線を開発する計画を進めていました。この計画の目的は、既存の100系よりも高速で優れた新幹線を実現することでした。最高260 km/hでの運転が可能な車両が想定され、東海道・山陽新幹線や東北・上越新幹線、北陸新幹線にも乗り入れることが計画されていました。しかし、国鉄の一部民営化を受けてこの計画は一旦中止となりましたが、1987年にJR東海がその開発を引き継ぎました。

同年6月、豊川工場で製造されたこのモックアップは、東京駅八重洲南口のコンコースで展示され、また各地のイベントでも紹介されました。その展示の際には、一般に公開され、乗客が新幹線の内部を体験できる機会が設けられました。展示されていた場所は、浜松工場の75周年記念や滋賀県の「しが産業フェスティバル」、「SUNPU博'89」などのイベントであり、国民に新幹線の魅力を伝える場となりました。

モックアップの特徴

このスーパーひかりモデルの設計には、視界を広げるための長めの車窓や、屋根を少し延ばした大型のパノラマウィンドウが採用されました。これにより、東海道沿いに広がる美しい景色を楽しむことができるように工夫されています。また、空気抵抗を減少させるために、車体の上半分は円筒断面とされ、快適な乗車体験を追求した座席が設置されていました。座席の背面には液晶テレビが取り付けられており、旅客の楽しみを向上させる工夫も見られます。

塗装は特異なデザインが施されており、車両の正面右側は0系に類似したコバルトブルーとホワイトの塗り分けが採用されました。一方で左側は、ホワイトを基調にしたライトブルーとコバルトブルーのストライプが施され、視覚的にも目を引くものとなっています。

計画の中止と経緯

スーパーひかりモデルの開発が進む中、構想段階では異なる寸法の車両も検討されていましたが、登場する可能性がある問題や仕様変更の影響を受けて、最終的には計画が中止されることになりました。特に、スーパーハイデッカー構造の採用は、航空業界の自由化が進む中で競争が激化したため、高速化に阻害される見込みから中止され、素早い運行が求められる300系9000番台の開発にシフトしました。

商品化とその後

スーパーひかりモデルはその後、JR東海からデザインされたオレンジカードが限定販売されたほか、プラレールのモデル商品としても人気を誇りました。1990年から1996年頃までの間、子供たちに愛された「スーパーひかり号」のプラレールも発売され、運転台を模したコントローラーによる遠隔操作できるバージョンも存在しました。これにより、実際の新幹線を想像しながら遊ぶことができるアイテムとして、多くの人々に親しまれました。

結果として、スーパーひかりモデルは新幹線の歴史の一部として記憶されるとともに、JR東海の発展と共に進化していった鉄道技術の象徴とも言えるでしょう。

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