スーパーボーイ・アラン

スーパーボーイ・アラン

『スーパーボーイ・アラン』（Super Boy Allan）は、1987年3月27日にサンソフトよりファミリーコンピュータ ディスクシステム向けに発売されたアクションパズルゲームです。

概要

本作は、サンソフトがディスクシステム市場で展開していた「知能ゲームシリーズ」の第2作目にあたります。このシリーズは、ゲームを楽しみながら算数の学習ができることをコンセプトとしており、第1作『アディアンの杖』では整数、第3作『地底大陸オルドーラ』では小数がテーマとされていましたが、本作では分数の計算に焦点が当てられています。

ゲームには2種類のモードが用意されています。一つは、主人公の少年アランが病気で倒れた妹リラを救うため、分数の問題を解きながら冒険を進める本編。もう一つは、分数に関する問題が次々と出題されるドリル形式の学習モード「ステップ・ドリル 分数」です。

他の多くのディスクシステムソフトと異なり、本作はディスクライターによる書き換え販売は行われず、パッケージ販売のみで提供されました。特に注目すべきは、後述する本作を題材とした漫画本がパッケージに同梱されていた点です。

システム

本編

本編でのアランの移動フィールドは、トップビュー形式で表示され、複数のエリアに分割されています。各エリアに入る際には、画面左下に数式が表示されますが、計算式の一部が伏せられています。エリア内には、「？」マーク、特定の文字や数字、記号が描かれた丸太、あるいは何も描かれていない丸太が存在し、これらは押して転がすことができます。前述の伏せられた部分に当てはまる文字の丸太を「？」マークが示された箇所に正解となる丸太を配置すると、エリア内の敵が消え、アイテムが出現します。エリアによっては、「？」マークが岩などの動かせない地形に描かれている場合もあります。

アランが一度に転がせる丸太の初期数は3個までですが、エリアクリア後に加算されるスコアが一定値に達するごとに、同時に押せる丸太の数が増加します。

本作には、野菜の怪物が多く登場します。エリア内を単純に動き回る敵のほか、アランを執拗に追跡する敵や、丸太を押して転がす敵も存在します。これらの敵は、丸太を転がして当てることで倒すことが可能です。敵に触れるとパワー（体力）が減少し、0になるとゲームオーバーとなり、スタート地点や拠点となる山小屋から再開することになります。

ステップ・ドリル 分数

この学習モードは、問題の傾向ごとに分類された全39種類に及ぶ多彩なステップで構成されています。数式の欠落部分を埋める本編とは異なり、解答となる数値を直接入力する必要があります（等号や不等号を用いる問題も含まれます）。

数値比較問題以外の解答は、整数、真分数（分母より分子が小さい分数）、帯分数（整数と真分数の組み合わせ）のいずれかで入力する必要があり、仮分数（分母より分子が大きい分数）や約分（分母と分子を最大公約数で割る作業）が行われていない分数での解答は不正解と判定されます。

一つのステップにつき5問が出題されます。一定時間内に一度で正解すると20点、一定時間を過ぎて正解するか、一度間違えた後に正解すると10点が加算されます。2回間違えると得点は0点です。5問終了時点で40点以上を獲得すれば次のステップに進むことができ、100点満点の場合は、総合得点に100点が追加加算されるだけでなく、次のステップをスキップしてさらに先に進むことができます。一方、30点以下の場合は、同じステップをもう一度やり直すことになります。

序盤のステップでは基礎的な計算問題が中心ですが、中盤以降は解答の数値が2桁、3桁になる問題や、3つの分数を用いた加減乗除、分数と小数が混在する計算問題など、本編よりも難易度の高い問題が多数登場します。

このモードは、女の子がアメリカ合衆国の各都市をマラソンで巡るというユニークな形式で進行します。各ステップの開始時にはアメリカ合衆国の地図と大まかな現在地が表示され、ステップをクリアするごとに次の地域へ移動します。全ステップクリア後には、総合成績と、成績に応じた女の子からのコメントが表示されます。

アイテム

本編で入手できる主なアイテムは以下の通りです。

• - 食パン / おにぎり / カレーライス: 取得するとパワーが回復します。右に挙げたものほど回復効果が高いです。
• - ロープ: 丸太を引っ張ることができる消耗品です。一つ入手すると5回分使用できます。
• - 銀のオノ / 金のオノ: 銀のオノは行く手を阻む木を、金のオノは木に加え岩も破壊できます。消耗品で、最初に泉の妖精から授けられ、以降は一つ入手ごとに2回分補充されます。
• - スーパーパワー: 一部のエリアで丸太の下に隠されている星形のアイテムです。入手したエリア内でのみ、一時的に無敵になれます。

評価

ゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」では、30点満点中14.94点という評価点数になっています。

また、ゲーム誌『ユーゲー』では、「『倉庫番』に似た形式で遊びながら分数を学べる点は評価できるが、ゲームとしての純粋な面白さには欠け、学習目的であっても苦痛に感じられる可能性がある」という批評が掲載されています。

同梱漫画

本作のパッケージには、ゲームの世界観をさらに掘り下げた約150ページにわたる漫画本が同梱されており、作画はただのかずみが担当しています。内容は全体的にコミカルに描かれており、作中には分数の計算方法に関する解説も随所に盛り込まれています。ゲーム本編に登場するのは主人公のアランと妹のリラのみですが、漫画版では多数の個性的なキャラクターが登場し、物語を彩っています。

ストーリー

かつて平和だった王国で、国王が制定した分数禁止令によって追放された分数が実体化して人々を襲撃し始めます。さらに、突如出現した野菜の怪物までもが町を徘徊し、事態は悪化の一途をたどります。この未曽有の危機を救うには、かつて王家に仕えた勇猛なコラーダ一族の男子の力が必要だと考えた町の老人ギルは、自身の教え子であるアランのもとを訪ねます。アランと妹のリラは、滅亡したとされるコラーダ一族の数少ない子孫でしたが、リラもまた野菜に襲われ病の床に伏しており、体の一部が徐々に野菜のような姿に変質していました。ギルから王国の、そして妹の命運を託されたアランは、妹を救うため、魔力を打ち消すと言われるガーバの実が実るローダ山頂近くの竜牙洞へと旅立つのです。

登場人物

• - アラン: 物語の主人公。城下町から離れたローダ山麓の山小屋で暮らす少年。活発で力持ちな性格ですが、算数は大の苦手。しかし、実体化した分数に襲われ苦しむ妹のリラの姿を見たことで、算数にも真剣に向き合うようになります。日頃から算数を教えてもらっている老人ギルから、病の床に伏す妹を救う使命を託され、竜牙洞を目指す旅に出ます。旅の途中では、コラーダ一族に伝わる超人的な能力を発揮する場面もあります。
• - リラ: アランの妹。身寄りのない中で家事を切り盛りし、兄アランの身まで案じるしっかり者の少女。兄とは対照的に算数が大好きで、微積分のような高度な数学に憧れを抱いています。分数に襲われた後、さらに凶暴化した野菜にも襲われて重い病に倒れ、体の一部が徐々に野菜のような姿に変質していきます。
• - モーニャ: アランとリラが飼っている猫。人間の言葉を話すことができます。旅に出たアランを追いかけ、忘れ物を届けたことがきっかけで、そのままアランの旅に同行することになります。
• - 王様: アランたちが暮らす王国の王。見た目は少年ですが、言動は子供っぽいところがあります。自身が算数、特に分数が苦手という理由から、分数禁止令という奇妙な法律を制定してしまいます。父王が豚肉を喉に詰まらせて崩御したことから、以来30年間菜食を続けていますが、肉への強い欲求を抑えきれず、城下町の魔法使いのもとへ密かに相談に訪れます。
• - バジオ: 王国に仕える大臣。王様の子供じみた突飛な行動にいつも手を焼いています。
• - ギル: アランとリラに算数を教える老人。後述する魔法使いの師匠でもあります。かつて、野菜を市場へ運ぶための呪文を作成しましたが、その内容に不備があったため、野菜が凶暴化して人々を襲うという事件を引き起こしてしまった過去を持ちます。その時はコラーダ一族の活躍によって事態は収束しましたが、同じ過ちを繰り返さぬよう、呪文が記された巻物に注意書きを追記し、厳重に箱に封印します。
• - 魔法使い: 城下町の一角で暮らす若い魔法使い。常に宙に浮いているのが特徴です。おっとりした性格で、「あはは」「えへへ」とよく笑います。肉を食べたいという王様の要望に応え、何か適当な口実となる呪文を探していたところ、師匠ギルが封印した「野菜が動き出す呪文」を発見。相棒のネズミが面白がって加筆した上でその呪文を使用してしまい、呪文の本当の危険性に気づいたのは、その呪文を発動させてしまった後でした。
• - ネズミ: 魔法使いの相棒であるネズミ。人間の言葉を話せます。無口な魔法使いとは対照的に非常に口数が多いです。

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