スーパーリージョナルバンク

スーパーリージョナルバンクとは

スーパーリージョナルバンクは、アメリカ合衆国において地方銀行が成長し、元々の営業地域を超えて新たな地域にも進出することを指します。この言葉は、特に地方銀行が他の州に進出するために、既存の法律の枠組みを利用して成り立っています。アメリカでは、銀行業務に対する州際規制が厳格であり、州を越えて営業することは基本的に禁止されていました。しかし、地方銀行の中にはさらなる成長を目指すために、他州で営業している地方銀行を買収する手法を用いるものが増えてきました。この戦略的な買収により、地方銀行は規制を遵守しつつも、その営業エリアを拡大し、大型化することが可能となりました。こうした地方銀行を総称して「スーパーリージョナルバンク」と呼ぶのです。

日本におけるスーパーリージョナルバンク構想

日本では、2000年ごろ、小泉政権下で道州制の導入が検討される中で、各都道府県に存在する地方銀行を合併させて広域地銀を創設する議論がかつて存在しました。しかし、道州制の議論が次第に消退するのに伴い、地方銀行の合併に関する議論も収束していきました。安倍政権下の2014年には、成長戦略の一環として「日本版スーパーリージョナルバンク」の実現が掲げられました。この構想には、自由民主党内の金融政策担当議員や金融庁の強い推進が関与しており、地方経済の再生には地域金融機関の多様な機能強化が不可欠であるとされ、そのために地方銀行には地域に適した産業を育む力や専門性を求める意見が示されました。

地方銀行への影響と懸念

しかしながら、このスーパーリージョナルバンク構想が進めば、地方銀行の融資判断に影響を及ぼし、結果的に中小企業の倒産を招く懸念も存在しました。日経ビジネス誌によると、一部の政府関係者がこの構想を「過激すぎる」と警戒しているという報道もありました。これらの懸念は、地方経済における安定を保つためには慎重なアプローチが求められることを示しています。

日本における実際の事例

具体的な事例として、りそな銀行が挙げられます。りそな銀行は、前身の旧大和銀行からスーパーリージョナルバンクを志向していましたが、いずれも都市銀行であるため、アメリカにおけるスーパーリージョナルバンクとはその背景に違いがあります。りそな銀行及びその親会社は、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、近畿大阪銀行や奈良銀行などを傘下に持つ一方で、関西アーバン銀行やみなと銀行も取り込むなどして、広域地銀化の動きが見られました。また、2016年にはトモニホールディングスが香川銀行と徳島銀行を傘下に持っていた時に、大正銀行を買収し、関西地域への進出を図る事例も確認でき、これもスーパーリージョナルバンクを目指す動きの一環と言えるでしょう。

結論

スーパーリージョナルバンクは、地域を超えて銀行業務を展開しようとする銀行の姿を表しています。アメリカでの成功が日本においても同様の構想を生む中で、地域経済の再生と地方銀行の役割が重要視されていることは、今後の銀行業界の動向において大いに注目すべきテーマです。

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