スーパー10

スーパー10

スーパー10（英: Super 10）は、1990年代前半に存在した、ラグビーユニオンにおける国際クラブチーム対抗戦です。具体的には1993年から1995年までの3シーズンにわたって開催されました。この大会は、オーストラリア、ニュージーランド、そして南アフリカ共和国の主要なクラブチームに加え、パシフィック・トライネイションズ（フィジー、サモア、トンガ）の代表チームが参加する形式をとっており、合計10チームによって争われました。その後の南半球におけるラグビープロ化の波の中で、より大規模なプロリーグへと発展していったことから、現代のスーパーラグビーシリーズの直接的な前身にあたる大会として位置づけられています。

設立の背景と大会形式

スーパー10の創設は、それ以前にオーストラリア、ニュージーランド、フィジーの限られたチームで争われていたサウスパシフィック・チャンピオンシップ（1986年-1992年）を規模拡大・再編する形で実現しました。従来の6チームから参加数を10チームに増やし、南アフリカ勢とパシフィック・トライネイションズ代表を加えることで、南半球主要ラグビー国の強豪が集結する大会へと進化しました。

大会は、参加する10チームを二つのプール（各5チーム）に分け、各プール内で総当たり戦を実施しました。この予選ラウンドを勝ち抜いた各プール1位のチーム同士が、年間王者を決定するためのプレーオフ、すなわち優勝決定戦で対戦するというシンプルな方式が採用されました。

短命に終わった大会とスーパーラグビーへの移行

スーパー10は、わずか3シーズンのみの開催となりました。転機となったのは、1995年8月に国際ラグビーがアマチュア規定を撤廃し、プロ化へと大きく舵を切ったことです。この歴史的な変化を受け、オーストラリアラグビー協会、ニュージーランドラグビー協会、そして南アフリカラグビー協会の三者によって、共同事業体である「SANZAR（現 SANZAAR）」が設立されました。SANZARは、ラグビーのプロ化に対応し、南半球における新たな国際的なクラブ・フランチャイズリーグの創設を目指しました。

その結果、スーパー10は1996年からはスーパー12として再編成され、プロフェッショナルリーグとして生まれ変わりました。参加チーム数は12に拡大され、より広範な地域を代表するフランチャイズチームが編成される形に移行しました。このスーパー12が、その後さらに規模や形式を変えながら現在まで続くスーパーラグビーシリーズの出発点となりました。スーパー10は、プロ化以前の南半球ラグビーにおけるトップレベルの国際交流の場であり、来るべきプロ時代の礎を築いた大会として、その歴史に名を残しています。

大会の足跡

スーパー10は短期間の開催でしたが、参加資格、各シーズンの出場チーム、歴代の優勝チーム、あるいは通算成績といった記録が残されています。これらの記録は、当時の南半球ラグビー界の勢力図や、各国・各チームのパフォーマンスを示す貴重な資料となっています。

関連する大会としては、前身にあたるサウスパシフィック・チャンピオンシップや、後継かつ発展形であるスーパーラグビーが挙げられます。また、参加国の国内主要大会であるニュージーランド州代表選手権（現 マイター10カップなど）やカリーカップ（南アフリカ）、そして国際大会であるパシフィック・トライネイションズ（現 パシフィック・ネイションズカップ）なども、スーパー10を理解する上で関連性の深い大会と言えるでしょう。

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