ズルフィカル級フリゲート

ズルフィカル級フリゲートについて

ズルフィカル級フリゲート（Zulfiquar class frigate）は、パキスタン海軍に属する新世代のフリゲート艦です。この艦は、イスラム圏において神聖視される剣に由来した名称を持ち、同級の艦艇はすべて剣に関連する名前が付けられています。そのため、ズルフィカル級は「ソード級」とも呼ばれることがあります。この艦級の開発は中国が担当し、中国側ではF-22P型と呼ばれています。

概要

ズルフィカル級フリゲートは、中国海軍の第1世代汎用フリゲートである053H3型（江衛-II型フリゲート）の近代化改良版です。基本的な設計要素は踏襲されていますが、船体は大幅に設計し直され、700トン以上の大型化を実現しました。この変更により、航洋性能が向上し、ステルス性にも配慮された構造となっています。

この艦級の最初の3隻は中国で建造された後、パキスタンに提供され、2009年に1番艦が就役しました。以降、2隻も同様に建造され、2010年までに艦隊に加わりました。最終の4番艦は、パキスタン国内で中国の技術支援を受けつつ建造され、2013年に就役しました。また、2007年にはさらに4隻の調達が検討されましたが、最終的には054A型フリゲートに置き換えられる可能性が高いとされています。

兵装

ズルフィカル級フリゲートは、053H3型と似た兵器システムを搭載しています。ZKJ-3C戦術情報処理装置を中心にシステムが構成されており、高度な情報処理能力を持っています。主砲には、最新のステルス性を考慮したH/PJ-26 76mm単装速射砲が採用され、CIWS（近接防空システム）には730B型30mmCIWSが装備されています。このように近接防空能力が強化されています。

また、対潜兵装は87式対潜ロケットに加えて、欧米の艦艇で一般的に使われている324mm短魚雷を搭載し、発射されるのは中国製のET52C短魚雷です。ソナー及びレーダーは、053H3型と同じ機種が使用されていますが、ズルフィカル級用に改良がなされています。具体的には低空警戒や対水上捜索用の360型レーダーと、唯一の対潜センサーであるSJD-7ソナーが搭載されます。さらに、艦載機としてZ-9C哨戒ヘリコプターも装備されており、これは中国製の哨戒ヘリコプターとして初の輸出事例となりました。

事件・事故

2014年9月6日、パキスタンのカラチにある海軍造船所で、ズルフィカルがイスラム過激派に襲撃される事件が発生しました。この襲撃により、艦には対艦ミサイルが搭載されており、アメリカ海軍艦艇を攻撃する意図があったとされています。しかし、パキスタン海軍の特殊部隊との激しい銃撃戦の結果、この奪取試みは失敗に終わりました。その後、事件に関与した海軍の数人が逮捕される事態が続きました。

派生型

ズルフィカル級を基にした派生型として、バングラデシュ海軍が発注したF-22B型フリゲートがあります。これは、基本的な構造が本級とほぼ同じで、予算は200万ドルです。また、中華人民共和国農業部の漁業局が運用する漁業取締船や巡視船「中国漁政310」も本級の設計を元にしていますが、武装は大幅に簡素化されています。

まとめ

ズルフィカル級フリゲートは、パキスタン海軍の現代的な艦艇として、その武装や設計において多くの先進的な要素を取り入れています。中国との協力によって生まれたこの艦は、地域の安全保障にも寄与しており、今後の運用が期待されています。

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