ズヴォレン

スロバキア中部の歴史都市 ズヴォレン：中世から現代まで

ズヴォレンは、スロバキア中央部に位置する歴史豊かな都市です。古くから人が住み着き、9世紀にはスラヴ人が定住、中央スロバキア地域の中心地として発展しました。1760年代まではズヴォレン地方の首都としての役割も担っていました。

ズヴォレンを語る上で欠かせないのが、11～12世紀に築かれたプスチー城です。ヨーロッパでも有数の規模を誇る中世の城で、ブダ（現在のブダペストの一部）とクラクフを結ぶ重要な交易路「ヴィア・マグナ」沿いに位置していたことから、町の発展に大きく貢献しました。1230年代にはハンガリー王ベーラ4世によって町の特権が与えられ、ハンガリー王国でも初期の都市の一つとなりました。

その後、ラヨシュ1世によって新たにズヴォレン城が築かれ、ハンガリー王家の狩猟場として利用されるなど、王家とも深い関わりを持つようになりました。1385年には、女王マーリアと神聖ローマ皇帝ジギスムントの結婚式がズヴォレン城で挙行されたという歴史的な事実も残っています。

1848～49年のスロバキア民族復興運動においても、ズヴォレンは重要な役割を果たしました。この運動の指導者の一人であるリュドヴィート・シュトゥールは、ズヴォレンを選挙区として活動していました。1871～72年には鉄道が開通、重要な鉄道の要衝として発展を遂げ、産業都市としての側面も強まりました。地元の鉄道会社では、装甲列車「フルバン」と「シュテファーニク」が製造され、現在もズヴォレン城近郊でその姿を見ることができます。

現代のズヴォレンは、広大な木材工場や科学技術大学を擁する都市として発展を続けています。また、重要な鉄道ハブ駅を有し、スリアッツ空港（プラハからの直行便あり）も近郊に位置しています。2002年には町の広場が近代化され、地元の特産品は観光客にも人気です。冬には中心部にスケート場が設置され、クリスマスシーズンにはお祭りムードが漂います。

ズヴォレンの人口は（2005年調査）約4万3千人。住民の大半はスロバキア人で、カトリック教会を信仰する人が多数を占めています。

歴史と文化、そして現代的な産業が融合するズヴォレンは、スロバキアを代表する魅力的な都市と言えるでしょう。ハンガリー・ルネサンス期の詩人バラッシ・バーリントや、政治家のヴラジミール・メチアルなど、著名な人物も輩出しています。プラハティツェ（チェコ）、ズヴォリン（ポーランド）、トートコムローシュ（ハンガリー）、リウネ（ウクライナ）など、多くの都市と友好都市関係を結んでいます。

現在も、ズヴォレンの歴史的建造物や文化遺産は大切に保存され、観光客に公開されています。古都の面影を残しつつ、現代的な発展を続けるズヴォレンは、訪れる人々を魅了する多くの魅力を秘めた街です。

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