セイナッツァロの村役場

セイナッツァロ村役場：アルヴァ・アールトの傑作

セイナッツァロ村役場は、フィンランド中央スオミ県ユヴァスキュラに位置する、建築家アルヴァ・アールトの設計による建造物です。1952年に完成し、1993年まで村役場として使用されていましたが、現在は図書館やオフィスなどを含む多目的施設として利用されています。

建築の特徴

この建物は、総面積約1,700平方メートルの3階建てで、中央広場を囲むようにコの字型に配置された役場棟と、南側に配置された長方形の図書館棟から構成されています。

役場棟
東側：議会場（3階）
北側：オフィススペース
西側：職員住宅
議会場は、議長席と向き合う形で約20席の議員席があり、その後ろに傍聴席が設けられています。

図書館棟
2階：図書室
1階：店舗
東側には御影石で作られた階段があり、その上には木製のパーゴラが設置されたメインエントランスがあります。西側には、土を木で留めた芝生の階段があります。

建物全体は、鉄筋コンクリートと約20万個の赤レンガで構成されており、アールトのデザインの特徴である自然素材と調和した温かみのある雰囲気を醸し出しています。

歴史

1949年に実施された村役場の建築コンペでアールトが1位入選し、同年着工、1952年に完成しました。この建物は、その建築的価値から1994年に建造物保存命令によって保護されています。1996年から1997年にかけて大規模な改修工事が行われました。しかし、2016年にはユヴァスキュラ市によるすべてのサービス提供が終了しました。

周辺環境とアクセス

セイナッツァロ村役場の北約350メートルにはセイナッツァロ教会があります。また、ユヴァスキュラ中心部から南へ約15キロメートル、ムーラメから東へ約7キロメートル、ヤムサから北東へ約52キロメートル、ヨウツァから北へ約70キロメートルと、周辺の主要都市からのアクセスも比較的容易です。

参考資料

和田菜穂子（編）『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』国書刊行会、2018年
Michael Trencher 著、平山達 訳『アルヴァー・アアルト 建築ガイドブック』丸善、2009年
小泉隆『アルヴァ・アールトの建築 エレメント&ディテール』学芸出版社、2018年
宮本和義・齊藤哲也『セイナッツァロ役場&夏の家 アルヴァ・アアルト フィンランド 1952, 1953』バナナブックス、2014年

関連リンク

公式サイト
Säynätsalo Town Hall (@SaynatsaloHall) - X（旧Twitter） - X（旧Twitter）)
Säynätsalo Town Hall (@saynatsalotownhall) - Instagram - Instagram)

セイナッツァロ村役場は、アルヴァ・アールトの建築哲学を体現する重要な作品であり、その美しさと機能性から、今日も多くの人々を魅了し続けています。この建物は、単なる行政機関の庁舎としてだけでなく、地域住民の文化的な交流の場としても重要な役割を担っています。

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