セイリーンビルの戦い

セイリーンビルの戦い：南北戦争における北軍の勝利

1863年 7月26日、オハイオ州セイリーンビル近郊で激戦が繰り広げられました。この戦いは、南北戦争におけるモーガンの襲撃の一部であり、南軍が関与した戦闘としては最も北で発生したものです。北軍の勝利によって、ジョン・ハント・モーガン准将率いる南軍騎兵隊は壊滅し、モーガン自身もその日のうちに捕虜となりました。

戦闘に至る背景

1863年6月、南軍のジョン・ハント・モーガン准将は、2,460名の騎兵を率いてテネシー州の宿営地を出発しました。彼の目的は、テネシー州の南軍に対する北軍の注意をそらすことでした。7月8日、モーガンはケンタッキー州に留まるよう命じられていましたが、それを無視してブランデンバーグでオハイオ川を渡り、インディアナ州に侵入しました。コリドンの戦いで勝利した後、モーガンは東へ進み、オハイオ州に入りましたが、北軍のジェイムズ・M・シャッケルフォード准将の部隊に追跡されることになります。

7月19日、モーガンはオハイオ州メグズ郡ポメロイの上流にあるバッフィントン島でオハイオ川を渡り、ウェストバージニア州へ逃れようとしました。一部の部隊は川を渡って南部に戻ることができましたが、北軍のエドワード・H・ホブソン准将とヘンリー・M・ジュダ准将の部隊によって、800名から1,200名ほどの兵士が捕らえられました。アダム・"ストーブパイプ"・ジョンソン大佐が指揮する300名ほどの部隊は、なんとか上流で川を渡ることに成功しました。

モーガン将軍と残りの400名の兵士は逃走を続けましたが、川を渡ることはできませんでした。再び渡河を試みましたが失敗し、北へ向かい、最終的にコロンビアナ郡に到着しました。この間も、彼らはオハイオ川を渡って南部へ帰ろうとしていました。その経路では、ムーアフィールド、ハリスビル、ニューアセンズ、スミスフィールドなど多くの村を通過しました。馬は疲れ果て、兵士たちも精神的、肉体的に疲弊していました。モーガンは、追跡部隊が川に近づくのを阻止しながら、徒歩で北へ進みました。

戦闘とモーガンの降伏

北軍のシャッケルフォード将軍はモーガン隊の追跡を続け、イリノイ州、ケンタッキー州、テネシー州、ミシガン州、オハイオ州の騎兵、砲兵、騎乗歩兵の混成部隊を率いていました。ストイベンビルの民兵隊も加わっていました。疲弊し孤立したモーガン隊は、敵地に深く侵入し、常に追跡を受けていました。7月26日、モーガン隊はついにオハイオ州リスボン近郊のセイリーンビルで側面を突かれ、逃げ道を塞がれました。

モーガン隊は劣勢を強いられながらも、約3,000名の北軍に対して突破を試みました。約1時間半の銃撃戦の結果、モーガン隊は364名の損失（戦死23名、負傷者数名、捕虜約300名）を出しました。モーガン将軍と少数の兵士は一時的に逃れることができましたが、同日午後2時、セイリーンビルから約13km北東のウェストポイント近くで、第9ケンタッキー騎兵連隊のジョージ・W・ルー少佐に降伏しました。降伏地点には、現在、歴史を示す銘板が設置されています。

ルー少佐の報告によると、モーガン将軍はまず、近づいてきたルー少佐を見て、捕虜の一人であったオハイオ民兵のバーブリッジ大尉に降伏したとのことです。バーブリッジはすぐにモーガンとその部下たちを仮釈放し、彼らが非戦闘員としてケンタッキー州の自宅に戻ることを許したとされています。しかし、ルー少佐はこの「降伏」を認めず、モーガンが正式に北軍に降伏したと主張し、仮釈放を無視しました。その結果、モーガンはコロンバスに連行され、多くの士官と共にオハイオ州刑務所に収監されました。捕虜となった兵士たちは、キャンプ・チェイスなど、北部の他の捕虜収容所に送られました。

モーガンの降伏をめぐる論争

1863年7月から8月にかけて、オハイオ州知事デイビッド・トッドはモーガンの降伏について調査を行いました。トッド知事は、バーブリッジ大尉が実際にはリスボンの住民ジェイムズ・バービックであり、オハイオ州民兵隊で士官を務めたことはなかったと結論づけました。つまり、バービックにはモーガンに対する権限がなく、北軍に対するモーガンの降伏が有効であると裁定しました。

南北戦争における最北端の戦い

セイリーンビルの戦いは、南北戦争において公式に編成された南軍部隊が到達した最北地点と考えられています。他にも、セントオールバンズ襲撃など、セイリーンビルの戦いよりも北で起こった南軍の行動は存在しますが、これらは正式な南軍部隊によるものではありませんでした。1864年 10月19日、南軍兵30名がカナダから侵入し、バーモント州セントオールバンズを襲撃しましたが、彼らは正式な南軍部隊ではありませんでした。

セイリーンビルの戦いは、モーガンの襲撃における重要な転換点であり、南軍の勢力衰退を示す出来事の一つとして歴史に刻まれています。

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