セイ・ユー・ウィル (曲)

セイ・ユー・ウィル (Say You Will)

「セイ・ユー・ウィル」は、イギリスとアメリカの要素を融合させたロックバンド、フォリナーが1987年に発表した楽曲です。同年にリリースされたスタジオ・アルバム『インサイド・インフォメーション』から最初のシングルとしてカットされ、バンドのフロントマンであるルー・グラムと、ギタリストのミック・ジョーンズの共作によって生み出されました。この曲は、フォリナーの後期のキャリアを代表するヒット曲の一つとして知られています。

商業的な成功

「セイ・ユー・ウィル」は、特に北米市場で大きな成功を収めました。アメリカの主要な楽曲チャートであるビルボード・ホット100では、最高位となる6位を記録しました。さらに、ロック専門チャートであるビルボードのホット・メインストリーム・ロック・トラックスにおいては、1987年12月19日付のチャートから4週連続で首位を獲得するという快挙を成し遂げました。これはフォリナーにとって、同チャートで通算4曲目のナンバーワン・ヒットとなりました。

興味深いことに、「セイ・ユー・ウィル」は、翌1988年に5位にランクインしたシングル「ウィズアウト・ユー」と共に、フォリナーがビルボード・ホット100でトップ10入りを果たした最後の楽曲群となりました。これは、バンドの歴史における一つの時代の終わりを示唆する出来事と言えるでしょう。

国際的なチャート成績も良好で、ドイツでは最高22位を記録し、フォリナーのドイツにおけるヒット曲の中でも3番目に大きな成功を収めました。また、スイス、オランダ、そしてノルウェーでも人気を博し、特にノルウェーでは4位にランクインするなど、ヨーロッパ各地で幅広いリスナーに受け入れられました。

音楽的特徴とバンドの変遷

「セイ・ユー・ウィル」は、フォリナーの音楽性がこの時期に変化しつつあったことを示す典型例として頻繁に引き合いに出されます。音楽評論家からの評価も概ね高く、音楽情報サイトのオールミュージックは、このシングルを特に分析しています。

オールミュージックのレビューによると、「セイ・ユー・ウィル」では、フォリナーのキャリア初期を特徴づけていたヘヴィーなロックギターサウンドが抑えられ、より洗練されたプロダクションが採用されています。楽曲の中心には、フロントマンであるルー・グラムの情感豊かでオペラティックとも評されるヴォーカルが据えられ、そのヴォーカルラインを支えるように、シンセサイザーによる厚みのあるサウンドレイヤーやエレクトロニックな質感が効果的に使用されています。

このようなサウンドアプローチは、フォリナーの初期のパワフルなギタースタイルから、エレクトロニクスを前面に押し出した、よりスムースでポップな要素も兼ね備えた楽曲へとスタイルが変化していることを明確に示しており、「セイ・ユー・ウィル」はその変化の方向性を示す「良い例」であると評されています。この時期のフォリナーは、従来のハードロックファンに加え、より幅広い層からの支持を得るためにサウンドを模索していたと言えるでしょう。

ミュージックビデオ

「セイ・ユー・ウィル」のために制作されたミュージックビデオも、楽曲のプロモーションにおいて重要な役割を果たしました。このビデオクリップの監督を務めたのは、後に『セブン』、『ファイト・クラブ』、『ソーシャル・ネットワーク』といった世界的に評価される映画を多数手がけることになる著名な映画監督、デヴィッド・フィンチャーです。

フィンチャー監督によるビデオクリップは、その映像美と独特の雰囲気で注目を集めました。1987年12月には、当時最も影響力のある音楽チャンネルであったMTVのトップ10チャートにおいて、最高位2位を記録するなど、大きな反響を呼びました。楽曲の情感あふれるメロディとルー・グラムのパフォーマンスを視覚的に際立たせたこのビデオは、楽曲のヒットを後押しする一因となりました。

まとめ

「セイ・ユー・ウィル」は、フォリナーのキャリア後半において商業的に大きな成功を収めただけでなく、バンドの音楽スタイルの変化を示す重要な楽曲です。力強いロックサウンドから、より洗練された、シンセサイザーやエレクトロニクスを取り入れたプロダクションへの移行を象徴する一曲であり、ルー・グラムのヴォーカルとミック・ジョーンズのソングライティング能力が光る作品と言えます。デヴィッド・フィンチャーが監督したミュージックビデオも視覚的なインパクトを与え、楽曲の人気を確固たるものにしました。この曲は、80年代後半のフォリナーを語る上で欠かせない楽曲の一つです。

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