セグノサウルス

セグノサウルス（Segnosaurus galbinensis）は、白亜紀後期（約9960万年前 - 6600万年前）のアジア大陸、現在の中国やモンゴルに生息していた恐竜の一種です。学名は「緩慢な爬虫類」を意味します。

分類上の混乱

セグノサウルスの化石は、その骨格に竜盤目と鳥盤目の特徴が入り混じっているという非常に珍しいものでした。そのため、発見当初から分類が難しく、長年にわたり研究者たちを悩ませてきました。骨盤の形状が鳥盤類に似ている一方で、他の特徴は竜盤類の特徴を示していたからです。近年まで、その分類をめぐって様々な議論が交わされました。

形態の特徴

外見上は、プラテオサウルスのような初期の竜脚形類（古竜脚類）に類似しており、特に近縁とされるエルリコサウルスとの比較から、頭骨と歯の形状が非常に似ていることが指摘されています。しかし、恥骨の形状は獣脚類に典型的なもので、先端が広がり坐骨に沿って後方へ伸びるという特徴を持っていました。このため、骨盤の形状だけを見ると鳥盤類に酷似していたのです。

胴体は幅広の樽型で、前脚には鋭く発達した爪を持つ3本の指が備わっていました。後脚は4本の指があり、それら全てが地面に接する構造をしていたと考えられています。

分類の新展開

セグノサウルスの発見は、従来の骨盤の形状のみで恐竜を分類するという方法に疑問を投げかけるものでした。当初は、特殊な進化を遂げた古竜脚類の子孫であるとか、竜盤類と鳥盤類に分類されない第三のグループに属するといった説も唱えられました。

しかし、近年になってセグノサウルス類縁のより保存状態の良い化石（アラシャサウルスなど）が発見され、詳細な研究が進んだ結果、「極めて特殊な進化を遂げた獣脚類」であるという見解が有力になりました。アラシャサウルスの研究からは、テリジノサウルスとの類縁関係も示唆されています。

食性について

樽型の胴体や古竜脚類に似た歯の形状から、セグノサウルスは植物食であったと推定されています。しかし、一部の研究者はこの説に異を唱えており、魚食性であったとする説も存在します。食性については、さらなる化石の発見と研究が待たれるところです。

関連事項

テリジノサウルス
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ネイモンゴサウルス
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