プラテオサウルス

プラテオサウルス：三畳紀後期の巨大植物食恐竜

プラテオサウルス（Plateosaurus、平らな爬虫類の意）は、約2億1400万年前から約2億400万年前の三畳紀後期に生息していた、大型の植物食恐竜です。全長5～10メートル、体重600キログラムから4トンに達する個体も存在し、初期の大型植物食恐竜として知られています。ドイツ、フランス、スイス、グリーンランドなど、広い地域で化石が発見されています。

特徴的な体型

プラテオサウルスは、テリジノサウルス類を思わせる小さな頭部と、長く伸びた首が特徴的です。胴体は樽型に大きく、前肢は後肢よりも短く、しかしながら強力なものでした。特に第一指には大きな鉤爪があり、採食や防御に使われたと考えられます。従来は四足歩行説が有力でしたが、最近の研究では主に二足歩行をしていたことが示唆されています。

分類上の位置づけ

かつては前肢の指の構造から竜脚類の祖先ではないとされていましたが、近年の研究により再び竜脚類の祖先として分類されるようになりました。この研究によって、“古竜脚類”という分類群は不適切となり、現在では別の分類群に属すると考えられています。

食性と採食方法

プラテオサウルスの顎の構造は、肉食性の爬虫類よりも植物食性の爬虫類に近い特徴を持っています。歯はイグアナに似ており、粗い鋸歯のある歯で植物を主食にしていたと考えられます。ただし、雑食性の可能性も示唆されています。ポール・バレットは、植物に加えて死肉や小動物を食べていた可能性を指摘しています。長い首と先細りの口器は、効率的な採食を可能にしていたと考えられますが、後の植物食恐竜ほど洗練されたものではありませんでした。餌を直接口で採食するか、前肢を使って枝葉を引き寄せて食べていたと推測されます。

消化

胃石の有無については議論がありました。近縁種に胃石が見られること、そして咀嚼能力が低かったことから、プラテオサウルスも胃石を利用して食物を消化していた可能性が考えられてきました。しかし最近の研究では、胃石の総量や重量、表面構造などの研究から、胃石が石臼のように機能していたという説は否定されつつあります。

運動能力

プラテオサウルスは、大腿骨よりも長い脛骨と太い脚部の筋肉を持っていたため、見た目とは裏腹に俊足だったと考えられています。初期の竜脚形類の特徴をよく残していると言えるでしょう。以前は四足歩行説が提唱されていましたが、現在は二足歩行が主流となっています。前肢は疾走に適していなかったため、走行時には後肢のみを使っていたと考えられています。

古生態学

活動時間: 強膜輪の研究から、プラテオサウルスは朝方や夕方に活動していた可能性が示唆されています。真昼の暑さを避けるためだったと考えられます。

コミュニケーション: 発達した気管、気嚢、含気性の胸骨、そして舌骨から、プラテオサウルスは大きな咆哮を上げていた可能性があります。これはディスプレイや威嚇などの意思表示に使われていたと考えられています。

防御: プラテオサウルスは大型の恐竜であり、その体格自体が防御手段となっていたでしょう。さらに、咆哮、尻尾による殴打、四肢による打撃、そして前肢の鉤爪を使った攻撃など、様々な防御手段を持っていたと考えられます。必要であれば、俊足を生かして逃げることもできたでしょう。

集団死: プラテオサウルスの化石は、複数体が密集して発見される例があります。これらは泥沼に嵌まって集団死したと考えられています。発掘地からは主に成体の化石が見つかっており、幼体は体重が軽かったため脱出できた可能性があります。一部の化石からは[獣脚類]の歯も見つかっているため、死後、死骸が漁られた可能性もあります。

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